プレスリリースの作り方

【プレスリリースの作り方】本当に伝えたいことは何か?を考える

2018.06.14

「メディアに取り上げてもらえるプレスリリースの作り方」vol.2
元毎日放送記者で、ラジオ報道部長なども務めた大谷邦郎氏がお届けする連載です。

プレスリリースは、お金をかけずにメディアに取り上げてもらえることから、中小企業にとってはかけがえのない“武器”です。それだけに、その特徴を知り、扱い方を学び、日々研鑽してもらいたいものです。
そこでこのコーナーでは、元・経済記者のボクがリリースをメディアに取り上げてもらえるそのポイントを、具体的事例を基に解説していきます。
さぁ、皆さんも一緒に学んでいきましょう!


「おしゃれ増毛を、広く知らしめたいのです!」
そう熱く語られたのは、まつ毛エクステ店やトータルエステ店を展開する株式会社GRAZIEの重原社長です。この春、なんばマルイに「女性のための増毛専門店」を開店したことをプレスリリースで伝えたいと、意気込んでボクとの面会に臨まれました。しかしボクは、暫し「う~ん」と唸ってしまいました。だって、正直「それのどこがニュースなの?」と思ったから。

まずは、最初に持って来られたプレスリリースの原案を見てみましょう。

キャッチフレーズは、こちらです。
「“女性の為の最新増毛専門店”がなんばマルイにオープン!」

確かに、なんばマルイに増毛専門店がオープンするのは初めてのことでしたが、それだけでは決してニュースにならない。本来であれば、こうしたケースは、お金をかけて宣伝をすべきものだと思いますよ、と言うようなことを申し上げたかと思います。

しかし、そんなことで重原氏は、引き下がりません、めげません。さらに一段、声のトーンを上げてこう質問してこられました。「先生!先生は、美容院で、“おばちゃんの美容師”に出会ったことがありますか?」と。

そう言えば、若い女性美容師はいるけれど、中高年の女性美容師に会った記憶はほとんどありませんでした。そう答えると、重原氏はさらに声のトーンを上げて「そうでしょ!だから私は、そうした中高年の女性美容師がいつまでも働ける場所を作りたかったんです。それがこの増毛専門店なんです」と訴えられました。それを聞いて、ボクも「それだ!」と大きな声をあげました。

さぁ、実際にメディアに送ったリリースをご覧ください。

冒頭にまず「生涯現役!おばちゃん美容師達はここにいた!」と“驚き”を伝えます。そして本文で、美容業界は意外と女性にとって働きにくい職場であることを説明し、一方この増毛店は高齢美容師にとっても働きやすい場所であることをアピールしたのです。

さらに、実際この店の店長は43歳で、スタッフの平均年齢も40歳オーバーであることを訴えました。普通に考えたら、こうした情報がプラスに作用するとは思えませんが、「働き方改革」や「女性活躍」が叫ばれる今なら、記者の目に留まるのではないかと考えたのです。その狙いは、ドンピシャ当たりました。リリースで告知したメディア向け体験会に取材に来てくれたのです。

いかがですか?あなたが本当に伝えたいことは何ですか?それを掘り出すのが、取り上げてもらえるプレスリリースの作り方の第一歩なのです。

(文/大谷邦郎)

大谷 邦郎氏
1961年、大阪・堺生まれ。 1984年にMBS(株式会社毎日放送)に入社。
大半をテレビ・ラジオの経済記者として過ごし、経済番組の制作にも携わる。その後、ラジオ報道部長、宣伝部長を歴任し、「取材する側」と「取材される側」の両方を経験。そのキャリアを活かし、2016年11月に独立し 「情報発信」や「危機管理広報」などに関するセミナーやコンサルを企業や大学・自治体などで行っている。現在「グッドニュース情報発信塾・塾長」。
著書:『関西唯の人 〜仕事を楽しむ人の図鑑』(星湖舎)等

★中小企業ならではの情報発信を学んで、マスコミに情報発信しよう!
プレスリリースサポートサービス