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「ひとりが複数の場で活躍できる社会」めざし、自らパラレルキャリアを実践

2018.06.13

経営者と芸人。三島氏には2つの顔がある。「パラレルキャリアが大切だと考えています。起業時のセーフティネットとしても、定年後を考えても」。

2013年に立ち上げたactuarise(アクチュアライズ)は、ソフトウェアの開発・販売を専門にする会社だ。

これまでに業務の効率化を図るタスク管理アプリ「チームToDo」や、Webサイトの画面を自動で画像変換するシステム「Webcliple(ウェブクリップる)」を生み出してきた。

2018年からは開発したソフトを用いて、働き方のコンサルティングも手がけている。

一定の間隔で、指定したURLの情報を自動でキャプチャして画像データとして保存していく仕組み。必要な情報だけを安全に持ち出すことができるため、テレワークにも役立つという。

出身は大手電機メーカー。新卒で入社して15年、自治体をターゲットにITシステムの営業を担当してきた。当時、顧客だった市からの要望に対する解決策を温め続け、形になったのが現在の「Webcliple」だ。

次に勤めていたベンチャー企業では、プレイングマネージャーとして部下の業務管理に悩まされた。その経験が、メンバーそれぞれのタスクや進捗を見える化し、残業を減らす「チームToDo」の開発につながった。

サラリーマン時代に発案したシステムが今も使われ続けるのを見て、「独立して勝負したい」と思うように。数多くのセミナーに参加し、中小企業診断士や弁理士に個別で相談。特許や創業補助金を取得し、エンジニアを採用してアイデアを具現化できることとなった。

パラレルキャリアの実現には、ワーク・ライフ・バランスとワークスタイル変革がキーワードになるという三島氏。「残業を減らすのはもちろん、オンとオフが曖昧になれば過労働も心配。そこをツールでカバーするのです」。

2つ目の顔は、三味線藤本流の師範。2006年から和楽器・和文化の教室を主宰する。専門分野であるITを活用し、連絡や生徒同士の交流はSNS、楽譜はPDF、遠方の生徒とはスカイプや録音したMP3データでやり取り。ホームページで寄席や曲芸、舞踊の出演依頼を受け付け、生徒の演奏発表の場も作り出している。

2006 年から和楽器・和文化の教室「和奏伎」を主宰。専門分野であるITを活用し、連絡や生徒同士の交流はSNS、楽譜はPDF、遠方の生徒とはスカイプや録音したMP3データでやり取り。ホームページでは出演依頼を受け付け、生徒の演奏発表の場も作り出している。

また、趣味で始めた素人落語家としての顔もある。プロの噺家に指導を受け、「矢目問亭 残業(やめといてい ざんぎょう)」という高座名で残業削減をネタにした創作落語「ブラック企業の白い社長」がレパートリーだ。「『チームToDo』を広めるために使える噺です(笑)」。近々、動画投稿サイトにアップする予定だ。

本業に限定せず、ITと伝統芸能、ビジネスと趣味も結びつける。4人に増えたactuariseのメンバーも、全員兼業でテレワークだ。「誰もが時間や場所に縛られず活動できるように、開発したツール類をバージョンアップしていきたい」。

ひとりが複数の場で活躍する社会をめざし、自ら実践している。

プレゼン力の向上をめざして始めた落語。創作落語を公開するために取り入れた動画撮影セットは、本業のプレゼンにも活用する。

(取材・文/衛藤真奈実)

actuarise株式会社

代表取締役

三島 浩一氏

https://www.actuarise.co.jp/

事業内容/ソフトウェア開発・販売