異国の地での起業はハードルが高い。言葉さえ困難な上に、その国ならではの商習慣の壁が立ちはだかる。イギリス出身のダニエル氏は、日本独特の商習慣に戸惑いながらも、外国人向け広告や編集物に特化した制作会社という競合の少ない市場で事業を伸ばしている。
イギリスの大学でデザインを専攻した後、当時日本政府が推進していたJET(英語教育)プログラムに参加するため来日した。
プログラムを終え、帰国することも考えたが、「せっかく話せるようになった日本語を生かさない手はない。イギリスに戻れば普通のイギリス人。でも日本では日本語が話せる珍しい外国人。こっちのほうが成功できる確率は高いと思った」。日本に残り、好きなデザインの仕事で独立しようと考えた。
とはいえ、まずは日本流のビジネスを学ぶためWEB会社に就職。そこで垣間見た日本人の労働観にショックを受ける。「仕事が始まる前に毎日朝礼、勤務時間は18時までなのに終業時刻になってもだれも帰ろうとしない。こういう会社には絶対にしたくないと思いました(笑)」。
退職後、フリーランスで仕事をするうちに、日本に滞在している外国人から印刷物のニーズが一定量あることに気付く。日本語は外国人にとって特に難解な言語といわれる。
「在日外国人でも日本語が苦手な人が多く、発注や交渉を英語でやり取りしたいという人が多かった」。07年には法人を設立。「競合が少ないのでWebを通じて全国から注文が入る」という。
3年前には、関西在住の外国人に向けた英語情報誌「Kansai Scene」事業を引き継いだ。また年々急増するインバウンド観光客向けに地域の情報を配信するアプリも開発予定だ。今後は、日英2ヵ所に拠点を作り、ビジネスをさらに広げることが目標だ。
ココが変だよ、日本のビジネス
「日本人の仕事は決断が遅い!課長のハンコ、部長のハンコ、って決定するまでのプロセスが長すぎる。イギリスではすぐだよ!」
(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)
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