【対談】世界一になるためにつくりたいものをつくる
―これからの目標は。
川合 うちの工具でカバーできるのは、ネジで困っている人のほんの一部。ネジに関するあらゆる困りごとを解決したいですね。そしていつか「僕にはずせないネジはない」と言いたい。それを言えれば世界一になれると思っています。
高本 7、8年前にアメリカの展示会に出た縁で今東南アジアを中心に輸出しています。もう1回アメリカの展示会にチャレンジして、いつかナイキやアディダスと肩を並べたいと思っています。できない理由はどこにもないから。
うちの靴が売れれば売れるほど、まちの職人のおじいちゃん、おばあちゃんが、孫から「街で履いてるの見たで」とリスペクトされる。そうすれば若い子らがこの業界に入ってくると思うんです。人がいればなんだって出来る。
川合 工具の持ち手をつくってもらっている樹脂成型部品メーカーは、ネジザウルスがテレビで取り上げられると放映時間に社員がテレビの前に並んでいるそうです。ぼくらががんばることでやりがいにつながってもらえるならうれしい。取引先の多くは後継者に悩んでいるところが多いので、一緒にどう伸ばしていけるかも考えていきたいと思っています。
―若い人たちにメッセージを。
川合 DIY文化をもっと根付かせたいと思っていて、まずは自分で修理してみよう、カスタマイズしようということを子どもにも伝えています。
ついこの間も、靴を買ったもののちょっと気に入らないところがあったので、金具と皮革を買ってきて自分好みに仕上げました。修理やカスタマイズしようとすると、それがどのようにつくられたのかを知ることにもなります。
高本 木を切ってお風呂や家をつくるゲームを子どもがしていて、つくるものがどんどん進化していくのがわかるんです。おそらくこのゲームは、子どもたちのクリエイティビティを育てたいと思ってつくったんやろな、と。
「大人になってこのゲームの作者に会えたらなんて言う?」って子どもに聞いたら「ありがとうって言う」と。「それ聞いたら作者の人泣き崩れるぞ」って。子どもには「ゲームで遊ぶ人じゃなくてそれを作る人になれ」と言いました。ムーブメントを起こす側の人になれたら楽しいしわくわくできる。そういうことを伝えたいですね。
(取材・文/山口裕史 写真/福永浩二)