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【対談】世界一になるためにつくりたいものをつくる

2018.02.01

言い知れぬ不安を乗り越えた先にある達成感を求めて、自分がつくりたかったものを世に問う。ものづくりの世界に身を置く者だけが味わえるぜいたくだ。
卓越した技能を認められ、「大阪テクノマスター」に認定された川合氏、「なにわの名工」として表彰された高本氏。工具、靴と舞台は異なれど、ものづくりにかける気概は重なる。二人のほとばしる思いがぶつかった。

―何をつくっているのですか?

川合 職人が使うドライバーやペンチなどの手工具をファブレスで企画・製造しています。主力商品は溝がつぶれてはずせなくなったネジをはずすための工具「ネジザウルス」です。

高本 靴づくりの分業体制ができあがっている生野で靴を企画・製造しています。主力ブランドは「リゲッタ・カヌー」で、コンフォートシューズやサンダルを手がけています。

有限会社シューズ・ミニッシュ
代表取締役・靴職人 高本 泰朗氏

http://www.mini-shu.com/
事業内容/靴の企画・製造・販売
個性的で本当によい履き心地を実現する靴を提案する有限会社シューズ・ミニッシュの代表。長年の靴・サンダルのデザインと製造において培われた優れた技能・知識を生かし、メイド・イン・生野にこだわったシューズを開発。特に日本の履物の代表である「下駄」の良さを生かしつつ、人間工学に基づいた技術革新で欠点を補い、現代風のエッセンスを加える事で、『履き心地』と『歩き心地』を生み出す事をコンセプトとして製作された靴は、「大阪製」ブランドの認定を受けるなど高い評価を受けている。平成29年度「なにわの名工」を受賞。

―主力商品、ブランドが誕生した経緯は?

川合 当社はもともと工具メーカーから仕入れた工具の持ち手部分などをアレンジし当社仕様にして販売する会社でした。

ユーザーからの声を拾い上げてみると、はずせないネジをはずす工具が欲しいというニーズが多いことがわかり、開発に挑みました。ゼロからペンチづくりを始める苦労はありましたが、まったく新しい工具の市場を作りだすことができました。つくった製品を守るために特許の取得にも力を入れました。

高本 かつては売れ筋商品をいち早く見つけてはそれを真似て安くつくることに徹していました。そうしたら真似をした先から内容証明を問う手紙が届きました。そのとき、人真似でメシ食ってる自分がダサく思えて、オリジナルの靴をつくろうと決めました。

我流で木のブロックをのみで削りながらできたのが「ビッグフット」というサンダルです。売れるかわからないものに20万円の特許料は高かったけれど、自分がつくったものを大事に思えるならと特許をとりました。

株式会社エンジニア
技術部開発課 課長 川合 真之介氏

http://www.engineer.jp/
事業内容/工具の企画・製造・販売
プロご用達の工具“ネジザウルス”シリーズを開発している株式会社エンジニアにおいて、新製品のデザイン提案から設計、開発完了まで一貫して行うことができる優れた技能者として、次々とヒット商品を世に送り出す同社の技術開発に欠かせない存在となっている。同氏がデザイン・設計する同社の工具は「グッドデザイン賞」、世界的に権威のある工業製品デザイン賞であるドイツの「iFデザイン賞」を受けるなど高い評価を受けている。平成29年度「大阪テクノマスター」に認定。

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有限会社 シューズ・ミニッシュ 代表取締役・靴職人 高本泰朗氏

株式会社エンジニア 技術部 開発課課長 川合真之介氏