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古き良きアメリカの食器が、日本の職人技で蘇る

乳白色の優しい色合いに、ぽってりした厚み。1940年〜60年代の古き良きアメリカで愛されたミルクガラスの食器は、独特の風合いから現代の日本にも数多くのファンがいる。特に「ファイヤーキング」ブランドは、86年の生産中止以来、コレクターの間で活発に取引されている。

ミルクガラスを再び日本で作り始めたのが、オールドミルクガラスの井置氏だ。2016年に同社を立ち上げ、クラウドファンディングで資金を調達。ミルクガラスを使ってオリジナルのタンブラーやマグを製造・販売している。

代表取締役 井置 仁氏

貿易会社の出身で、アパレル商材を手がけていた井置氏。取引先の古着店でファイヤーキングの緑のマグが目に留まった。ジェダイ(翡翠)と呼ばれる美しい輝きが気になり、コレクターの一人だった顧客から話を聞くうちに、「自分が復刻できれば面白いと直感しました」。

製造元を調べて人から人をたどり、ついには実際にファイヤーキングの企画・生産に携わっていた人物と出会う。ライセンス供与の契約を結び、レシピを入手。2011年には日本で復刻生産を実現した。その経験が、オリジナルブランドへとつながった。

現在は4色展開だが、7色まで増やしたいと試作を繰り返している。

当初、ミルクガラスの製造を引き受けてくれる日本のガラスメーカーは、なかなか見つからなかった。ホウケイ酸ガラスという耐熱性の高い素材は、一般のソーダガラスより高温で原料を溶かす必要があり、容器がその温度に耐えられない。配合も独特で、特有の微妙な色や質感を出すことも難しかった。

「1940年代のアメリカではオートメーション化された工場で大量生産していました。今の日本にはその設備がない。それでも、日本が誇る職人技で再現したかったのです」。

繊細な温度コントロール、プレス成型とろくろのようなスピン成型の使い分け、一つひとつ手作業によるプリント転写。失敗を重ねる中で培った職人の技術で完成した。最近行った検査では、日本の耐熱ガラス基準の一つである120度の急激な温度差にも対応できるようになった。

熱に強いミルクガラス。電子レンジはNGだが、80〜90度のいれたてのコーヒーや紅茶は大丈夫だ。

日本で誕生した日本のミルクガラス。「今までにないブランドに育てたい」という思いがある。茶碗や、ぐい呑みといった和食器に挑戦する一方で、テーブルやランプシェード、タイルなど、古き良きアメリカの空間を味わうためのツールにも仕立てたい。時代と国を超えて、井置氏の夢はつながっていく。

「古い」を表す「olde」はあえて古語表記に。ファイヤーキングの企画に関わっていた人物から直接アドバイスしてもらった。

昔のアメリカのダイナーで使われていたような、分厚くて頑丈そうなマグも揃える。

(取材・文/衛藤 真奈実)

2017年10月19日
オールドミルクガラス株式会社
代表取締役   
井置 仁氏
事業内容/オリジナルミルクガラス食器の販売
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