ボクも将来カンカンつくりたい
いつも元気いっぱいの幸太郎君(9歳)、奏介君(7歳)、祐大君(4歳)の三兄弟。
今日はお父さんの会社に遊びに来ました。
—ねぇねぇ、みんなはお父さんの仕事って何か知ってるん?
奏介くん「知ってるよ。お菓子の入っているカンカンとか作ってんねん。社長さんやねん」
—会社にはよく来るん?
幸太郎くん「うん、たまに。工場、機械がいっぱいあっておもしろいし」
祐大くん「ねーねー、なにこれ??なにこれー?」
奏介くん「うわぁ、機械がものすごい速さでカンカン運んでる!」
幸太郎くん「そうやで、ここからカンカンが流れてくるねんで」
清水社長「パパはみんなが喜んでくれるような、楽しい気持ちになるような缶をつくる仕事してんねんで」
—お父さんのお仕事どう思う?
幸太郎くん「えぇー(照れくさそうに)・・・かっこいいと思う」
—幸太郎くんは何になりたい?
「パパみたいにカンカンつくりたい。あ、でもサッカー選手にもなりたい」
—奏介くんは?
「にいに(幸太郎くん)と同じ・・・カンカンつくりたい」
—祐大くんは?
「ぼくもカンカンつくるねーん」
—うわぁ、社長、感動しちゃいますねぇ。
清水社長「(照れくさそうに)刷り込みです(笑)」。
幼稚園の卒園文集で書いた将来の夢は「おとうさんのかいしゃのあとつぎ」。製缶業を創業した祖父と同居していた自分にとって三代目を継承することに迷いはなかった。
「父親が取引先の菓子メーカーから袋いっぱいの割れクッキーをもらってくるのが嬉しかっただけかもしれませんけどね(笑)。でも家族や周りの人が喜ぶんかなぁと漠然と感じてました」。
社長になった今、三人の息子たちを仕事の現場によく連れて行く。肝いりの新しい缶が仕上がれば、持って帰ってドヤ顔で自慢する。仕事のストレスや悩みは家庭には一切持ち込まない。
「しんどい時もサッカーしてから家に帰るとか(笑)。父親が好きなように楽しく働いていると思っていてほしいんです」。
そんな姿を見ている三人の息子たちの将来の夢も「カンカンつくること」。ぶっちゃけ嬉しい。
「ただ彼らには好きなことをしながら大きくなってほしい。継ぐか継がないかはその先にある話ですから」。
でも会社での子どもたちとのひとときは、持っているバトンを意識する時間でもある。
将来、彼らのうちの誰かが継ぐ時まで会社をしっかり守っていく。たぶん先代もそうだったんだろう。
親子で繋ぐ経営のバトン。百年企業の姿が見えてきた。
(取材・文/山野千枝 写真/福永浩二)