産経関西/産創館広場

脱セクショナリズムで組織力向上

2015.04.06

印刷物製造に始まり、新たな機能、技術を取り入れて事業内容を拡大しているのが、創業60周年を迎えた日本アーツ株式会社(大阪市天王寺区)だ。

創業期は印刷会社として事業を拡大。当時、印刷工場の2階にあった住まいで、谷正央社長も機械の音を聞きながら成長した。

主要顧客である大手企業の成長に伴い、大量の印刷を請け負うことで、会社の業績を順調に伸ばしていたが、現在は、市場調査や商品開発、ウェブ、さらにはITシステムや映像・デザインなど、「情報を伝える」ために最適と思えるあらゆる手段を取り入れ、印刷物を請け負うだけの会社から、提案型の企画・マーケティング企業へと業態を変えている。

ユニークなのは、プランニング、クリエーティブ、メディアなどそれぞれの専門部署を設置し、社員の専門スキルを高めている点だ。

シャープや大和ハウス工業をはじめ、現在では一部上場企業から社内報の企画、販促ツールの制作、調査、店舗づくりなどのさまざまな依頼が寄せられるが、案件ごとに、各分野の専門スタッフが集まり、プロジェクトチームを形成する。

このチームのメンバーは、営業担当が招集。決して縦割りになることがないよう、部門を横断して集結しており、自らが手を挙げて参画することもできる。さらには、新入社員も社長もメンバーとして入ることがあり、フラットなチームで徹底してアイデアを出し議論を重ねるのが日本アーツのスタイルだ。

ふだんからセクショナリズムを排除し、知識を共有して、社員それぞれを幅広い課題に対応できる人材に育成するために、マーケティング意識醸成・品質向上・環境配慮―の3つのテーマによって、横断的な社内プロジェクトも立ち上げている。

経営の基本コンセプトに「らしさづくりの経営」を掲げ、社員には自分らしさや自社の特長を徹底して考えることを求めている。

「60年の歴史に決して甘えることなく、過去の古い習慣や体質を破壊と創造し、社員一人一人の“らしさ”を引き出していきたい」と熱い思いを持つ谷氏のもと、日本アーツのこれからの活躍に注目していきたい。

(大阪産業創造館 プランナー 多賀谷元)

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▲さまざまな専門スタッフとともにミーティングをする谷社長(中央)

 

日本アーツ株式会社