仕事に責任 頼もしい自主性育む
数限りないブランドがひしめくアパレル業界で生き延びてゆくのは並大抵のことではない。そんな中で、企画・製作・卸を手がける有限会社hapuna&Co.(ハプナアンドコ)=大阪市西区=は創業から10年。「特に努力したつもりはないが、順調に伸びてきた」と上田昌信社長は話す。
その秘密は企画・製作の要となるデザイナーの力が存分に発揮される環境にある。一般にアパレル会社のデザイナーは、生地などの仕入れ先が決められているなどさまざまな制約があり、イメージ通りの服づくりができないことが多い。一方、同社では、デザイナーは仕入れ先を探すところから仕事を任され、自分が納得できる服づくりを追求できる。デザイナー自身が着たい服を妥協しないでつくることで、同世代のニーズを確実につかみ業績を飛躍的に伸ばしてきた。
上田社長がメンバーに求めるのは自分で考える力だ。社内に5つあるいずれのチームもメンバーが自らの責任で企画・仕入れ・製作まで一貫して手がけることが、売り上げや顧客からの手応えにリアルに反映される。従って、メンバーの仕事へのモチベーションは高く、「どうすれば成果につなげられるのか」などを常に考えているという。
例えば、現場の課題が発生したときに随時行っているチーム会議ではメンバーからの解決案が飛び交う。「日々、自分で考えている人は、その場で何でも答えられる」と上田社長。こんな風土が社内に醸成されると、入社当初は“やらされ感”があったメンバーも、次第に自主性が出てきたという。
かといって社内の雰囲気がぴりぴりしているわけではない。上田社長も率先して社内の和やかな雰囲気づくりに努めている。
創業から倍々ゲームで伸びてきた同社だが、さすがにここ2年ほどは売り上げ上昇のカーブが緩くなってきた。そこで上田社長は新しい事業の柱に育てるべく、2年前から小売り店舗の展開を始めた。さらに今年からネット通販部門も立ち上げた。これまでの企画・製作・卸という業態に小売りと通販を加えることで、エンドユーザーの生の声が直接聞けるようになる。この仕組みをうまく取り入れる新たな業態の開発に挑戦中だ。
(大阪産業創造館 シニアプランナー 中根己貴男)
http://www.sankei-kansai.com/2013/03/04/20130304-064081.php
有限会社hapuna&Co.