機械加工に確固たる自信
宇宙開発用素材や超精密機器などグローバルな要求に応えるため、最先端の技術開発・研究を展開する栄和機工(大阪市西淀川区)。CAD/CAM(コンピューター利用設計・製造システム)を使った3次元の金属加工をはじめ、あらゆる難削材の3軸・4軸加工を手掛けている。西原孝社長は「機械加工でできないものはない」と強い口調でいう。創業は1986年と歴史は浅いが、技術力は相当なものだ。
西原氏はもともとインテリアデザイナーで、「知識といえば大学で金属工学を学んでいたくらい。機械操作も初めのころはマニュアルを見ながら動かしていました」と話す。人脈もコネも持たずに起業したため、当初は失敗と苦労の連続だった。
「見積もりを間違えて大損をした、なんて経験は数え切れません」。技術面での苦労も想像に難くない。経営は大変だったというが、それでも「絶対にやってやる」という強い思いはどんな状況にあっても揺らぐことはなかったという。
こうした信念と地道な取り組みによって、少しずつ新規取引先を開拓し、信頼と実績を重ねてきた。さらに「何もわからないけど、人が嫌がることをやってやろう」と、あえて技術的ハードルの高い難削材の依頼も積極的に受けた。
そのかいもあり、あらゆる難削材に対応できる技術ノウハウを蓄積していく。原子力発電関連パーツ、H2ロケットのタンク、航空機の車軸、東京スカイツリーの免震装置など、あらゆるフィールドでその技術力を発揮し、さまざまな案件が舞い込んできている。
原子力関連装置を扱うため厳格なサーべイ(調査)を受けるだけに、品質管理は徹底している。「すべての納品物に必ず検査表を添付しています。そのおかげもあり、3年間クレームゼロを実現しています」
西原氏は後進の育成にも情熱を注ぐ。「従業員には『それだけの仕事に携わっている自覚とプライドを持ってやれ』といっています」。技術力に裏づけされた確固たる自信を、垣間見ることができる。
(大阪産業創造館 プランナー 内田貴美代)
▲薬品を撹拌(かくはん)するスクレーパー。ステンレスの塊から、この形状に仕上げるのは高度な技術力が要求される