東アジアの訪日観光市場 急増する個人旅行を狙え
昨年の訪日外国人客数は東日本大震災の影響で前年比27.8%減の621万9000人(日本政府観光局調べ)となったが、現在は急回復し、過去最高のペースで推移しつつある。観光庁調査によると訪日外国人の旅行中支出(2011年)は1人当たり113,917円で同1.0%増加。旅行消費額は中国、韓国、台湾の順に多い。
成長分野のインバウンド(訪日旅行)ビジネスに1年半前、ホテルや交通手段の手配を行うランドオペレーターとして参入したのがフリープラスだ。中国からの訪日客獲得の場合、現地の旅行会社に出向いて営業し、プランを提案して回る。だが、団体旅行では、参加者1人当たりの旅費をホテル・交通費込み0円で提案し、誘導する店舗からの高額なリベートで収益を稼ごうとする旅行業者も多いとのことで、現在は個人、法人向けに絞って開拓中だ。「旅行の品質が低ければまた日本に来たいと思ってもらえない」と考え、お客様に「人生に残る思い出をプレゼントする」との理念を掲げ、業界に風穴を開けようとしている。
実績を積まなければ相手にされない世界だけに、手順を踏んで事業を展開している。「まずはランドオペレーター業界で覇権を握らなければ」と、中国及びASEAN各国で日本旅行を取り扱っている旅行会社250社以上を開拓。また「SサムライAMURAI JジャパンAPAN」と名づけた国外旅行会社向けのホテル予約のインターネットサービスを6月に開設した。現在、電話やチャットが主流の予約業務の迅速化につながり、便利さが浸透すればホテル、旅行会社の双方から信頼が得られる。
同社は中国以外にも東南アジア6カ国でインバウンド事業を展開する。まだほとんど訪日旅行を手がけていないカンボジアでは、訪日旅行のPRを含めて種をまき続けるなど、ステージに応じた戦略で「アジアからのインバウンドで覇権を取る」と勇んでいる。
株式会社フリープラス
代表取締役
須田 健太郎 氏
設立/2007年 資本金/1,000万円 従業員数/22人
事業内容/訪日旅行(インバウンド)に特化したランドオペレーター。中国、インドネシア、マレーシア、タイ、ミャンマー、カンボジア、シンガポールが営業エリア。