日本社会への“同化”でビジネスがスムーズに

「各家庭に高品質の日本製品を!」をスローガンに、日本茶、和食の食材や食器類、釣具、絵具などさまざまな製品を世界へと輸出するジャパントルグ株式会社。

ドイツ生まれ、ウクライナ育ちの三宅氏は、高校生の時に日本に興味を持ちロシアの大学で日本語を専攻、後に大阪市立大学大学院に留学。卒業後、いくつかの仕事を経て日本の貿易会社に勤務し、貿易業務に関するノウハウやビジネスを支える人のつながりを築いていった。

「日本には海外の人が喜んでくれる素晴らしいものがたくさんある。それを世界に紹介することで、お世話になった関西に恩返しがしたい」と考え、輸出商社であるジャパントルグを2006年に設立。以来、13年にわたって大阪を拠点にビジネスを展開してきた。

「日本は、ビジネスに適した環境だと思います。資本金1円で会社が設立できますし、金利も低い。大阪に関して言うと、家賃が安くて事務所を構えやすいです」。

三宅氏はこれらに付け加えて、日本人の気質とも言える点を指摘する。「誠実に仕事に取り組み、相手に対して心を開き、相手を信頼し、そして、規則や法律を守る。そういった価値観が浸透しています」。

日本人にとっては『当たり前』と思われることも、国によっては必ずしも当たり前ではない。「日本は、安心してビジネスを行える国だと言えます」と三宅氏。

日本人が経営する会社であっても、設立から10年の存続率は必ずしも高くない。

それを異国の地で成し遂げた三宅氏が心がけ、また日本で起業を志す外国人に伝えたいことは、「やりがいのある仕事をする。ある程度の期間は日本に定住する。日本語の勉強をし続ける。日本の法律に理解を深める。自宅の近くにオフィスを構える。粘り強さ・勤勉さ・冷静さを持つ。日本の文化や歴史、商売道徳を勉強する」という7つの項目。これらの多くに共通するのは、「信頼」だと言う。

「日本でのビジネスにおいて、相手との信頼関係はとても大切です。信頼関係はすぐには築けません。ですから、粘り強さは不可欠です。定住することは『腰を据えて取り組んでいる』という意思表示になります。定住にあたっては、保険に加入し、きちんと納税し、健康診断を定期的に受けるなど、日本人であれば当たり前のことを、外国人であっても行うべきです。日本で暮らす以上、国籍に関係なく、日本社会の一員。守るべきルールはあり、果たすべき役割はある。日本に“同化”することが、スムーズなビジネスの秘訣だと思います」。

三宅氏のこのアドバイスは、日本人も活用できる「社会人としての心構え」と捉えることもできそうだ。むしろ、日本人以上に外国人のほうが、日本での“ビジネスのコツ”を把握しているのかもしれない。日本人が、日本で活躍する外国人経営者から学ぶことは、数多くあると言えそうだ。

代表取締役 三宅ヴァディム氏

>>>外国人経営者のメリット
外国のビジネストレンドをキャッチし、競争力を高めやすい。

>>>外国人経営者のデメリット
信頼を得るまでに時間がかかることがある。
 

(取材・文/松本守永 写真/福永浩二)

2019年04月08日
ジャパントルグ株式会社
代表取締役  
三宅 ヴァディム氏
事業内容/日本製品の輸出(ロシア、欧米など)

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