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それまでなかった女性用ゴーグルで新境地を切り拓く

2015.02.10

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スキーやスノーボード愛好者におなじみのAXE(アックス)ブランド。スポーツ用ゴーグルやサングラスなど、アイウェアを製造する大阪の老舗メーカー「アックス」が手掛けている。創業は1936年。戦時中は産業用ゴーグルなど防塵メガネを製造しており、スポーツ分野に進出したのは1950年代後半。当時輸入品しかなかったスキーゴーグルの製造を開始した。国産ゴーグルメーカーは今でも2社しかない。

戦時中の産業用ゴーグル。

戦時中の産業用ゴーグル。

とりわけ新しかったのが、初めて女性用のゴーグルを世に送り出したこと。高度経済成長に合わせてスキー人口も増えてはいたが、まだまだアイテム数も少なく、女性スキーヤーはサイズや好みが合わない男性用を無理に使うことがほとんどだった。自信を持って売り込みをかけたものの、卸問屋の反応はいまひとつ。

「輸入品で十分に売れているし、女性用とはいえピンクのゴーグルはちょっと…」と尻込みされた。当時の流通では卸問屋の力が強大。問屋に見向きもされないとなると、販売は極めて難しくなる。しかし、ここで諦めるわけにはいかないと、同社は小売店に売り込みをかけた。それまでの得意先と競合になる経営判断だが、「背に腹はかえられない」、そんな状況だった。

1960年当時の雑誌広告。女性用ゴーグルを初めて世に送り出した。

1960年当時の雑誌広告。女性用ゴーグルを初めて世に送り出した。

当時はカラーも黒や白が主流だったが、パステル調の配色で、女性の顔の大きさに合わせた小ぶりなサイズを展開。雑誌広告など、情報発信を積極的に行った。80年代に「ゴーグルビューティー」と題してミスコンを開催す
るなど、話題性のある仕掛けを重ね、地道にブランドを定着させてきた。

女性が好むカラーやデザインを展開する。

女性が好むカラーやデザインを展開する。

また、小売店との直取引により、結果的に利益率もアップ。現在の取引先は、ほとんどが小売店だ。「女性用ゴーグルを発売した当時は大阪だけだったのに、今や全国チェーンになった小売さんも少なくありません。おかげで当社の販路も自然に広がっていきました」。

現在は500店舗を超える小売店で販売されている。機能性が追及されるスポーツアイテムで築いてきた緻密で地道なものづくりで、今後もメイドインジャパンメーカーとしてのポジションを守っていく。

代表取締役社長 河合晃弘氏

代表取締役社長 河合晃弘氏

(取材・文/北浦あかね)

株式会社アックス

代表取締役社長

河合 晃弘氏

http://www.axe.co.jp/