年々高性能になる、家庭用マッサージチェア。年間400億円の市場があり、高齢化社会のニーズにマッチした製品が次々と開発されている。だが、消費者にとってなかなか手が出しにくい家電製品の筆頭でもある。「使ってみたいが、1台20万~40万円という価格では手が出ない」「本当にずっと使うのか?」「また新しい製品が出るのではないか?」「欲しいけれどもなかなか購入に踏み切れない」。
癒しのれんたる株式会社(大阪市淀川区)の仲島秀豊氏は、そんな消費者の疑問や不安を解決するため、高機能マッサージチェアを月額制でレンタルできる事業モデルを開発(レンタルは最短で6カ月~。月額6900円程度)。インターネット経由でPRしたうえで、受注するサービスを4年前にスタートした。一般家庭の利用に加え、携帯電話ショップの待合スペースや飲食店、フィットネスクラブなどへと販路を広げ、契約数が1150件(2012年6月現在)と順調に業績を伸ばしている。
また、消費者から実際に体験してから契約したいという要望も多く、体験型ショールームを作ろうと考えていた」。その矢先、知人から「ショッピングセンターに場所を借りてみないか?」という話が舞い込んだ。そして今年4月28日、地域密着型元気発信地をコンセプトにした商業施設「ベアーズ(門真市)」にショールームをオープン。マッサージチェアを常時8台設置し、ショールームで試す→家で試す→そしてレンタルを継続するかどうか決める、という製品の流れを消費者に提案している。
ショールームを設けたことにより、“癒やし”をコンセプトにした製品を持つ企業と出会い、新たなレンタル用製品の提案を受けたりするなど、予想外の効果も生まれている。また、ショールームにて消費者に実際に体験してもらい、使用感や値頃感など、率直な意見を取り入れたサービス開発も行っている。来店者から「転勤族なので、引っ越し先に置けるのか心配で買えなかった」「両親へのプレゼントに考えていたが、実際に使い続けるかわからないから見送っていた」「他にもいろんな製品をレンタルできるようにしてほしい」という生の声が聞けたのが嬉しかったと仲島氏は語る。
今後も“癒やし”のアイテムのレパートリーを増やしていく予定。毎日頑張っている方に、手軽な価格で日々ほっとする癒やしの時間を提供し、5年以内に顧客を1万人にするのが目標だ。(大阪産業創造館 新産業創造推進室 プランナー 西前綾子)
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