産経関西/産創館広場

ある時を境に急に売れ出した

2012.11.26

エンジニア

大阪の東成区に、今まさに勢いに乗っている会社がある。株式会社エンジニア(大阪市東成区)。プロ向け工具をつくる会社だ。有名テレビ番組で1時間丸々紹介されるなど、注目を集めているのにはワケがある。名物社長の高崎充弘氏が、値千金のある発見をしたのだ。ものづくりでスターを生み出す新法則「MPDPをそろえる」という考え方だ。

「MPDP」とは、「マーケティング」「パテント」「デザイン」「プロモーション」の頭文字。この4拍子がそろうと、その商品は急にどんどん売れるようになるという。エンジニア社の看板商品で、ドライバーで回せなくなったネジをがっちりつかんで簡単に外せる工具「ネジザウルスGT」を生み出す過程で、社長が分析し、編み出した法則だ。事実、後続の製品「鉄腕バサミGT」でこの法則を実行したところ、同様に急に売り上げが伸びた。

社長いわく「MPDP」をそろえるプロセスは、人間のスターを生み出すプロセスに似ているという。M=情報収集で、金の卵を発掘する▽P=他社に横取りされないよう、契約を結ぶ▽D=よさが際立つメーク、ファッションにする▽P=オリンピックなどで金メダルを取る(メディア露出)。

今や海外での講演依頼の声もかかり、ひっぱりだこの高崎社長が先日、産創館で講演を行った。そこで社長が注意を促していたのは「『MPDP』のどれかが欠けていて、思うように売れない経験を、今まで800商品くらいでしてきた」ということ。4点すべてを満たしているのがミソなのだ。「3点そろえたが、1点足りない」などは、かけた労力が大きい分、非常にもったいない。この話を知ったものづくりに携わる方々は、高崎社長の800回の努力の結晶をぜひとも役立てて、「ある時を境に急に売れ出した!」という驚きを味わっていただきたいものだ。

同社は現在、海外進出も行い、各国の事情に合わせた商品展開を実行している。また、国内では、新たなMPDP活用商品のリリースが近い。同社の1ファンとして、今後の試みが非常に楽しみである。

(大阪産業創造館 プランナー 中村亘宏)

株式会社エンジニア

http://www.engineer.jp/