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歯周病菌の測定時間を圧倒的に短縮 口腔細菌検出装置「オルコア」

2026.06.03

歯周病は、歯ぐきの腫れや出血から始まり、進行すると歯を失ってしまう病気としてよく知られている。さらに近年では、糖尿病や高血圧、心臓病、脳梗塞などの疾患との関連も指摘されている。では、自分が歯周病かどうかをどのように判断すればいいのだろうか。そんな疑問に短時間で答えてくれる装置がある。株式会社オルコアが開発した「オルコア」だ。この製品は、従来に比べて約45分という短時間で歯周病菌の測定結果を得ることが可能だ。歯科医院が外部機関に検査を依頼し、結果が出るまで約1週間以上かかっていた現状と比べると、飛躍的な時間短縮といえる。

これまでの歯周病菌検査は、患者の歯周ポケットに紙製のこよりを差し込んで検体を採取し、古くはシャーレで培養して細菌の種類を判別する方法が主流だった。その後、PCRによる測定も始まったが、測定には大掛かりな装置や試薬の取扱い技術が必要であり、検体の調整作業も煩雑であり、操作の精度が担当者の手技に左右されやすいという課題があった。

その点、「オルコア」の使い方はシンプルだ。専用の歯間ブラシで患者のプラークを採取し、専用液に懸濁したのち、検体を検査容器に入れて装置にセットするだけ。約45分後には、細菌の目安量が緑・黄・赤の3段階で示され、数値もデジタルで表示される。歯科医師はその結果をもとに、患者のリスクを診断できる。

PCR検査に必要な温度変化や光測定機能が、コンパクトなボディに内蔵されている。

同製品は、口腔細菌検出装置と専用キットで構成されている。もともと同社は、歯ブラシやフロスなどを手がけるヤマトエスロン株式会社のグループ企業であり、専用キットの開発にはプラスチック成型で培ってきた知見や技術が活用されている一方で、装置の開発は初の挑戦だった。この装置には、歯周病の原因菌のDNAを増やして検出するPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)が使われており、開発にあたっては測定原理に詳しい大学の協力を得ている。

同社は2013年頃から、基礎研究で得たノウハウをもとに、歯周病の原因菌の中でもP.g.菌の測定に特化したPCR検査装置の開発に着手。実証実験や試作、臨床現場での検証を重ね、2019年に製品化した。発売後はT.d.菌、T.f.菌に対応した検査キットも展開し、現在では全国約600を超える歯科医院に「オルコア」が導入されている。

採取した検体をセットするだけで、歯周病リスクをその場で可視化できる。

この技術が、歯周病診療の現場にどのような変化をもたらしたのか。同社の研究開発部 植野氏は「歯周病の検査自体が簡便で身近になり、患者様が検査を受け易くなっていると思う」と話す。導入した歯科医院の医師からも、「菌の目安が数値で示されるので説明しやすく、患者さんも『こんなに菌がいるのか』と治療へのモチベーションが高まっている」と評価する。こうした変化は、歯周病リスクの早期発見につながり、重症化の防止、さらには“治療中心”から“予防重視”へと歯科医療の在り方を変えつつある。

一方で、歯周病検査の認知はまだ十分とはいえない。従来の方法に比べて患者の費用負担は軽減されたものの、自費診療であることが依然としてハードルのひとつとなっており、導入は全国の歯科医院の約1%にとどまっている。同社代表の糸山氏は「継続的な啓発活動が必要。学会などを通じて歯科医師への認知を広げるとともに、患者さんにも検査の重要性を伝えていきたい」と語る。口腔細菌検査システム「オルコア」による「健口(けんこう)」への取り組みは、今後ますますの広がりが期待される。

右から代表取締役社長 糸山 秀史氏、研究開発部 主幹 植野 昭彦氏、歯周病予防推進部 部長 高階 尚志氏

(取材・文/荒木さと子)
※掲載写真は、編集部にて撮影したもの以外に、取材先企業からご提供いただいた写真も含まれています。

株式会社オルコア

代表取締役社長 糸山 秀史氏
研究開発部 主幹 植野 昭彦氏
歯周病予防推進部 部長 高階 尚志氏

https://orcoa.jp

事業内容/分析装置・分析試薬の販売、オーラルケア製品の企画・ 販売