商品開発/新事業

顧客に寄り添い、歩み続ける製造業DXのパイオニア

2024.08.22

近年、人材不足の深刻化とともに製造業DXの必要性が叫ばれ、通信技術や端末の進化も相まって、生産管理を効率化するクラウドツールが数多く生まれている。この分野の歴史に目を向けたとき、忘れてはならないパイオニアが株式会社システム技研だ。「DX」という言葉が生まれるはるか以前に販売・生産管理システム「MAPS」を開発し、製造業の業務改善を牽引。その原動力となったのは「日本の製造業を強くしたい」という思いだ。

同社の設立は1982年。大手メーカーのシステムパッケージ開発をOEMで請け負う中、当時は「無理だ」といわれていた製造業の生産管理システムのパッケージ開発に挑戦。設立と同年に「MAPS -V1」として商品化し、国内でもっとも歴史のある生産管理システムとなった。その後、さまざまな大手メーカーのオフコンに導入されたMAPSは、生産管理ツールの先駆けとして長く愛用されることとなる。

1994年には、国内で初めてパソコンサイズにダウンサイジングした「MAPS-V6」をリリースするなど、その後も時代の変化に合わせて製品のバージョンアップにまい進する。そんな同社に転機が訪れたのは設立から25年を経た2008年のこと。阪急阪神東宝グループでシステム開発を手がけるアイテック阪急阪神株式会社の子会社となったのだ。管理技術を強化したいアイテック阪急阪神と、販売網を広げたいシステム技研の利害が一致し、晴れてグループの一員として歩み始めることとなる。

その後もMAPSは進化を続け、設立35周年を迎えた2016年には阪急阪神ホールディングスの発展に貢献したとして特別賞を受賞している。進化を続けられる秘密は何か。DIソリューション部の雪定氏によると「コンサルタントとしてお客さまに伴走する姿勢」にあるという。「MAPSはパッケージ製品ではあるものの、お客さまごとに培われてきたノウハウを継承しつつ、業務フローや課題に合わせて細かくカスタマイズしており、オーダーメイドに近いケースもあります」と雪定氏。1つ1つのオーダーと真摯に向き合い、積み重ねてきた信頼こそが同社の強みといえる。

ここ最近はAI(人工知能)やIoTなどの技術トレンド、製造業DXへのニーズの高まりなど、大きな変化が押し寄せている。その変化にいち早く対応するため、2022年4月に新設されたのがDIソリューション部だ。DIは「デジタルイノベーション」の略で、親会社の支援を受けて工場・プラント、鉄道、ビル、ネットワークなど各分野のITに精通した人材が集結。今後の市場変化を見すえた新たな製品ラインナップを強化している。

その中には、外観検査ツールや、インシデントを自動検知して通信を遮断するEDRなど、AIを活用したものもある。その他、既存の製造設備に後付けできる稼働監視ツールや現場設備と連動したMES(製造実行システム)など、まさに“かゆい所に手が届くサービス”を充実させている。

それらの開発を可能にしているのは、長年にわたって蓄積してきたノウハウに加え、社内外のリソースをうまく融合させる体制にある。同社には大手メーカーで工場長などを務めた経験のある人材も在籍し、顧客からのヒアリングを受けてプロジェクト化するスキルに長けている。一方、社外に技術の提供元のネットワークも築いており、両者の掛け合わせによって多様な課題に応えるソリューションを構築できるという。

時代に合わせて柔軟にサービスを拡張し、日本の製造業を陰で支え続けてきたシステム技研。顧客企業の業種も機械系の製造業だけでなく、食品加工や酒造、化学、エネルギーなど幅を広げ続けている。「今後は創薬などの先端分野にも広げていきたい」と雪定氏はさらなる成長への展望を語る。

同社の企業理念には「生産工場のガイド役」という一言がある。システムを納品して終わりではなく、あくまでゴールは顧客企業の成長であり、製造業全体の発展だ。課題が山積する日本の製造業に対し、同社が次にどのような救いの手をさしのべるのか、期待せずにはいられない。

DIソリューション部兼営業部 雪定 登氏

(取材・文/福希楽喜)

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株式会社システム技研

DIソリューション部 兼 営業部

雪定 登氏

https://www.sys-giken.co.jp

事業内容/ソリューション事業(販売/生産管理システム、製造実行システム ほか)