スタッフ連載

「株式会社KOKYU」が見つけた価値観の変革~経済的成功から社会的貢献への経営の転換とは

2024.01.31

大阪産業創造館 創業支援支援チームの【起業プログラム】を実際に利用し起業した“先輩起業家”を紹介する連載コラム。起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談を紹介します。

【起業家図鑑】vol.43
「株式会社KOKYU」が見つけた価値観の変革~
経済的成功から社会的貢献への経営の転換とは

これまでは「儲け」が焦点であった経営者が、なぜ「社会的貢献」に焦点を移したのか、その価値観の変革に迫る。経済的成功から社会への意義ある価値提供への転換の背景や、経営者の価値観変化に至るまでの過程を明らかにします。

▼起業のきっかけ
20歳の頃から大学のポータルサイトやさまざまなWebメディアの運営に没頭し、学生起業家としての一歩を踏み出していた堀さん。兄が経営していた保険会社の代理店業務や、レディースアパレルのEコマース、コスメのBtoC販売、そしてベトナムで焼肉料理店を開業するなど、多岐にわたる事業を手がけ、それらのプロジェクトで集客やマーケティング経験も積んできた。

これまでの経営では、主に「儲け」に焦点を当てていたというが、新たにフェムケア&フェムテックの商品及びサービスを提供する「株式会社KOKYU」を設立する際には、経営において「理念や社会的意義」など、社会全体に貢献できる価値を提供することに焦点を移した。この転換に至ったのは、単なる金銭的な成功や贅沢を追求するあり方に疑問を抱いたからという。以前はお金を稼いで豪華な生活をすることが経営者の理想像だと考えていたが、今回の起業では、会社を誰のために運営するのか、その社会的な責任を強く意識し、「株式会社KOKYU」の設立は単なる経済的な成功だけでなく、社会に対して意味のある価値を提供できるような経営をめざした。

▼転換期:プログラム利用のきっかけ
想いを具現化する手段を模索していた時に、日本スタートアップ支援協会の方から紹介されたのが、大阪産業創造館の「IAGベンチャーサポート発表会」というプログラムだった。このプログラムはコンテストで賞を取ることではなく、企業の経営者たちで構成されるIAGメンバー(※1)からのサポートを受けることに重きを置いたものだったため、当時の想いにピッタリとマッチし、魅力的に感じた要因の一つだった。
これまで経営に関わる計画書を作成してきた経験があったものの、このプログラムで数字よりも重視されたのは、「何がしたいのか」「どういったビジョンを持っているのか」「社会貢献に関しての意図」といった要素で、数字だけではなく「経営の真の目的」や「意味」についても深く考える貴重な機会となったという。

▼新たな経営視点:プログラムの活用
IAGベンチャーサポート発表会への登壇を通じて、より多くの方に商品の必要性について理解してもらうため、ビジュアルの重要性を再認識し、成長の機会となった。
その結果、自社の理念や実現したいことに対しても共感を得ることができ、経営を進めることに対して幅広いサポートを受けることができた。世界観を伝えることが苦手だったがメビック(※2)を通じてクリエイターに出会い、言葉による訴求の表現やデザインの大切さなど、より相手に伝わる方法がわかりブランディングの方向性なども明確にすることができた。

▼創業後の苦労と課題
起業時はコロナ禍ということもあり、統合型コマース(オンライン・オフライン)を採用したビジネスモデルを展開した。店舗も含まれるため、多彩な商品やサービスの提供、そしてパーソナライズされた組み合わせを実現するためには相当な開発費が必要となった。また、銀座などで理想の店舗を展開するためには数千万単位の出店費用が掛かるなど、これからもサービス向上のために数千万単位の資金が必要となり、「資金繰り」が大きな課題となっている。

▼未来の起業家へのメッセージ
一般的には起業に関連する有料セミナーが増えていますが、大阪産業創造館は無料セミナーも提供されています。起業後もさまざまな場面でサポートを受けられるので、いつでも頼れる存在として、いつも背中を押してもらっています。

これまで経営してきたのは、売上げに上限があるスモールビジネスでした。しかし、今後は企業価値の高いユニコーン企業をめざし、一生挑戦し続けられる会社を築きたいというビジョンを掲げ、その実現手段として美容ビジネスに着目し、「株式会社KOKYU」を設立しました。将来的に数千億円といった高い売上げ目標を掲げるには、起業当初の経営設計が重要だと考えています。また、具体的な目標として、2027年の上場をめざし、2024年にはショートレビューを実現したいと考えています。

最後に、堀さんはこれからも挑戦し続け、スタートアップモデルとしての地位を確立することで「私たちの成長と成就につながる」と語ってくれた。

代表取締役CEO 堀 敦友氏(前列左)

(※1)IAGメンバーとは、関西を代表する企業の経営者や中小・ベンチャー支援に取り組んでいる企業や団体の代表者によって構成しており、自らの企業経営の苦労や経験、保有する資源を後輩起業家育成のために生かし、経済活動を活性化させるため、無償で活動しています。
(※2)クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック
大阪で活動するクリエイターを応援するコーディネート施設。クリエイターの情報発信、ネットワークづくり、販路拡大等をサポートしています。

アイデアだけでもいい、まずは誰かにそのアイデアについて話してみませんか?
大阪産業創造館では、起業に役立つセミナーやプログラムをご用意しています。

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⇒利用した起業プログラム
IAGベンチャーサポートプログラム(Incubation Angel Group)
IAGは2000年に設立された「インキュベーション・エンジェル・グループ」の略称で、関西を代表する企業経営者や支援団体によって構成され、中小・ベンチャー企業の成長をサポートし、経済活性化に貢献しています。
https://www.sansokan.jp/iag

株式会社KOKYU

代表取締役CEO

堀 敦友氏

https://kokyu.life