スタッフ連載

「テーブルフォトブース」で“おうち”を“アトラクション会場”に

2020.07.01

【起業家図鑑】
大阪産業創造館 創業支援チームのプランナーが月替わりで起業家を紹介する連載コラム。起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談をプランナー目線で紹介します。
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【起業家図鑑】vol.26 「テーブルフォトブース」で“おうち”を“アトラクション会場”に

今年初挑戦したクラウドファンディングで470%の目標金額を達成した、株式会社P.I.の『テーブルフォトブース』。

テーマパークやホテルなどのイベント企画やデザイン制作を手掛けるトリックアートのプロ集団が作成した卓上撮影ブースです。

テーブルフォトブースを使って撮った写真(左)と撮影シーン(右)

当初のターゲットは若い女性。SNSでの投稿の際に映える(ばえる)写真を撮りたいと思うニーズを想定していました。そのため女性にウケそうな背景を用意し、クラウドファウディングに向けて準備していました。

しかし、クラウドファンディングの担当者(男性)との打ち合わせの際に言われたのは、『男性向けの背景もあったほうがいいんじゃない』との一言。その担当者は最近料理に凝っており、写真を撮影する際にこんな卓上ブースがあったらいいなと感じていたことから出た言葉でした。

そこから、社長の竹谷さんのアイデアは一気に広がり、若い女性がスイーツや可愛い小物を撮影するための背景から、男性ウケする背景に大きく方向転換。テーマはアウトドア、居酒屋、宇宙、炎などなど、一気に30近いテーマを考えたそうです。

クラウドファンディングで購入できるテーマは8テーマにする予定だったので、考えついた30テーマから選りすぐり、結果は126人の方からサポートを得ることができました。

テーブルフォトブースを使って撮った写真(左)と撮影シーン(右)

クラウドファンディングで挑戦した理由の一つは、自分たちが想定していたターゲットにちゃんと突き刺さるものになっているかどうかを確かめたかったから。

しかし、フタを開けてみると、当初予定していた若い女性ではなく、購入者層は40代~50代の男女で、最年長は80歳代の男性でした。
これには竹谷社長も驚きましたが、新しいニーズが確認できたと満足しています。

ものづくりや料理にこだわった趣味をもっていて、自分で作ったものをより良く見せたいと考えている人に、トリックアートが得意な竹谷社長たちが作成した『テーブルフォトブース』がマッチしました。もうすぐネットショップもオープンする予定です。

代表取締役 竹谷直子氏

最後に、竹谷社長にこの『テーブルフォトブース』を創り出した背景をお聞きしました。

株式会社P.I.はさまざまな企業から、商品の販促や、イベントの企画を受注してきました。これらのほとんどは請負なので、請負だけでなく、いつか自分たちのアイデアやスキルを活かした独自性のあるオリジナル商品を生み出したいとの想いがありました。
それが、いつも黒子に徹している、自社のデザイナーの名前の残る仕事につながれば、さらに良いのではと考えていらっしゃいます。

また”写真撮影”は一つのアトラクションに匹敵するくらいワクワクできる体験だ、その体験を自宅で楽しめ、どこかに行かなくても“ご自宅がアトラクション会場になる”って最高ではないかと考え、「テーブルフォトブース」という形に至ったと仰っておられました。

このコロナ禍の影響は少なからず当社も受けています。しかし新しいアイデアをすぐに実行に移し、トライ&エラーを早く回転させて検証することで、活路を見出すことができるんじゃないかと竹谷社長のお話を聞いて感じました。

(取材・文/大阪産業創造館 創業支援チームプランナー 石嶺 一樹)

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株式会社P.I

代表取締役

竹谷 直子氏

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