ビジネスを通して日本を知り、同時に母国の良さを知ることができた「外国人起業家」の道
大阪産業創造館 創業支援チームの【起業プログラム】を実際に利用し起業した“先輩起業家”を紹介する連載コラム。起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談を紹介します。
ビジネスを通して日本を知り、同時に母国の良さを知ることができた
韓国出身の申さんは、韓国で大学を卒業し同国の貿易会社に就職した。
日本と中国を結ぶ商社で働くうち、次第に「日本」に興味を持つようになり、会社の先輩からの勧めもあり、「日本で働くこと」と「自分のスキルアップ」を目的に来日。
来日後は、経理の仕事に就いたが、「もっといろいろなことを学び、日本でチャレンジしたい」という気持ちが大きくなっていった。
「日本でチャレンジするには、日本のことを深く知る必要がある」と考え、日本語学校にも通いながら自分にできることを探し、日本で学生として学ぶことを決め大学受験に挑戦。日本語の読み書きもままならない状態での大学受験は相当な苦労もしたが、諦めずに努力した結果無事入学することができた。
大学の奨学金制度のコミュニティで、エジプト出身の男性と知り合い、互いの受験時の苦労話などで盛り上がるうちに意気投合し、ほどなくして二人は結婚。以前から、日本でチャレンジしたいと考えていた申さんは、「起業したい」と夫に相談したところ、快く賛成してくれた。
早速、Webで外国人の起業について調べたところ、大阪産業創造館の存在を知り、さまざまな専門知識を持つコンサルタントがいる「経営相談室」で起業支援を受けることになった。
事業内容は夫婦で話し合い、「母国の良いものを日本の人たちに知ってもらいたい」と、世界最高峰ともいえる強度やなめらかさなど、優れた品質を持つ『エジプト綿(エジプシャンコットン)』の輸入販売に決めた。
外国人が日本で会社を設立し利益を得るためには、「経営・管理」の在留資格が必要だ。取得するには一定基準の資本金や事業所の確保といった要件をクリアしなければならない。特に、ハードルの高い要件だったのは、事業が継続可能であることを示す事業計画書を日本語で作成することだった。
そこで、申さんは大阪産業創造館の起業支援プログラムを活用し、法人設立と事業計画書作成に向けたサポートを受けることにした。
子育てのかたわら、経営相談室の登録専門家との面談を重ね、約半年後に「経営・管理」の在留資格を取得した。
事業として2023年3月に始動したばかりだが、起業後も「経営相談室」へ相談に訪れ、製品やサービスの開発や販路開拓についてのアドバイスを受けながら、クラウドファンディングでオリジナル製品の販売などに力を入れている。
「自分の考え方だけでは限界がある。大阪産業創造館を利用し、起業に向けた課題についてさまざまな専門家の先生に無料で相談ができたことは、大きなメリット。誰かに相談しながら起業のスタートラインに立てば、客観的に、冷静に自分を見ることができる。また、日本の文化や歴史を学び深く知ることで、日本の人々が求めるものや愛されるアイテムを見つけることができ、ビジネスを通して日本を知り同時に母国の良さを知ることができた」と、語ってくれた。
取材時はまだガランとしていた事務所だが、いつか大勢のメンバーが元気に働き、一つのチームのような会社にすることが夢だそう。二人のお子さんの子育てに奮闘しながら、さらなる夢を叶えるために今日も笑顔で頑張っている。
大阪産業創造館では、起業に役立つセミナーやプログラムをご用意しています。
利用した起業支援サポート/経営相談室
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