誰もが手軽に健康管理できる未来をめざして。独自の技術で検査キットを開発!
【起業家図鑑】大阪産業創造館 創業支援チームのプランナーが月替わりで起業家を紹介する連載コラム。起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談をプランナー目線で紹介します。
【起業家図鑑】vol.28 誰もが手軽に健康管理できる未来をめざして。独自の技術で検査キットを開発!
健康で楽しい生活を送りたい…!と思いつつも、自分の健康状態を数値で見る機会がない、という方も多いのではないだろうか。
私自身も、年に1回程度の健康診断以外に、自分の体の健康状態を検査する機会はほとんどない。
たとえ不調を感じることがあっても、病院に行くこと、ましてや血液検査や精密検査を受けることにハードルが高いと感じてしまうこともあるだろう。
一方で、今回紹介する「未病マーカー研究所」は、日常生活の中で簡単に活用できる、手軽で負担の無い検査キットを開発し販売している。
小さなキットで尿を採取し、研究所へ郵送すると、尿中の物質であるインジカンを検査し、腸内環境検査結果数値と生活習慣アンケート分析を加味した詳細なレポートが返送されるというもの。結果だけでなく改善アドバイスなども書かれておりわかりやすい。
同社は、健康の指標となる尿中バイオマーカーの測定方法を独自で開発し、複数の特許を取得している。また、大学との共同研究によりエビデンスとなる論文も発表された。
血液や便の検査に比べて心理的ハードルが低く、24時間365日、時間を選ばずに採取した尿の検査を受けられ、低コストでスピーディーに検査結果がわかるのが特徴である。
そんな未病マーカー研究所の代表である岡田氏は2代目社長。創業者である内田氏は国立循環器病研究センターを皮切りに、血液検査の道を歩み、多くの新しい血液検査を産み出した。
しかしながら、30代半ばでリンパ腫に罹患し病を克服する過程で、未病と健康意識に着目し、高額ではなく使用のハードルも低い、健康で活力ある毎日をサポートする検査をめざして試行錯誤を重ねた結果、この尿検査のキットが生み出された。
岡田社長は内田氏の義理の弟であり、この事業の構想に強く共感し創業メンバーとして参画。医学の専門家ではないものの、金融機関勤めで培った経験を活かし、営業や外部との連携に注力し、研究者メンバーと力を合わせて前進してきた。
そして2018年、内田氏が亡くなった後はその想いを引き継いで代表取締役に就任し、事業を展開してきた。
2018年には大阪起業家グローイングアップのビジネスプランコンテストで優秀賞を受賞。2019年にはIAGベンチャーサポート発表会に登壇し、委員の企業での検査テストを行うなど、他の企業や団体と連携して認知度を高めつつある。
今後は検査会社や技術開発会社とも連携しながら、検査を含めた健康を支える新しい仕組みの開発と普及をめざしている。
そして未病マーカー研究所は、健康で元気あふれる人々が暮らす社会を実現できる未来を描きながら、その挑戦を続けていく。
(取材・文/大阪産業創造館 創業支援チームプランナー 春田 千尋)