10年後の1億人の為に医療用家系図を用いた予防医学を
【起業家図鑑】
大阪産業創造館 創業支援チームのプランナーが月替わりで起業家を紹介する連載コラム。起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談をプランナー目線で紹介します。
【起業家図鑑】vol.31 10年後の1億人の為に医療用家系図を用いた予防医学を
代表の坂上氏は先天性の小耳症という病気を患っており、幼少時から何度も病院に通い、今まで3度の全身麻酔が必要な手術を受けてきました。現在では若干ではありますが聴力を回復されています。
入院中に医療現場の最前線で働く医療関係者を見ていたこともあり、医療分野への恩返しをしたいという想いが事業への取り組みに繋がっています。
プラクス株式会社(以下プラクス)の事業は、遺伝情報を整理する「医療用家系図システム」の開発、販売です。
なぜ、医療用家系図が必要なのか。それはこれからの社会に遺伝医療が必要になってくると言われているからです。そしてヒト遺伝情報を扱う場合には家系図作成が大切だともいわれています。
血縁者の病気や体の疾患情報を家系図に落としこむことで、予防や早期治療を促し、病気を発症するリスクを下げることが可能になります。このことにより医療や介護の費用を減少させることができると考えています。
プラクスは医療情報と家系図で世代を超えて繋がる医療情報プラットフォームを提供し、国内での遺伝医療の普及をめざしています。
この医療用家系図システム『GenieDraw(ジニードロー)』は今年6月にリリースされており、すでに複数の医療機関で採用されています。
引き続き、より多くの医療機関にこの『GenieDraw』を広めることで、まずは遺伝医療のプラットフォームとして医療用家系図を蓄積できる基盤を整えます。
次の段階として、遺伝疾患患者をはじめとした一般利用者にむけて疾患管理手帳を開発し、これを医療用家系図システムと連携させることで家族の医療情報を家系図上に集積し、「一家に一つ医療用家系図」が作成される環境の構築をめざしています。
これが普及すれば、事前に家族間で医療情報を共有することができ、疾患の早期発見や治療につなげることが可能になります。早期発見、早期治療は日本の医療費削減にもなりますので、遺伝医療の普及に貢献できる事業だと考えられています。
現在、代表の坂上氏とエンジニア1名のスタートアップなので営業活動など不足しているリソース(経営資源)や解決しないといけない課題もありますが、大阪市の「大阪トップランナー育成事業」に認定され、認知度向上や事業化の加速に邁進しています。
まだ企業も社長も若いスタートアップ企業ですが、医療の最前線で働く方々や遺伝医療で元気で健康な生活を送る人が一人でも増えてほしいという想いを原動力に事業を進めています。
(取材・文/大阪産業創造館 創業支援チームプランナー 石嶺 一樹)
https://www.osaka-toprunner.jp/
◎プラクスの詳しいページは↓コチラ↓
https://www.osaka-toprunner.jp/project/introduce/pracs/