コロナ禍も何のその?!オーダーメイドの”おいしい”で笑顔と幸せを提供するカフェ工房
【起業家図鑑】大阪産業創造館 創業支援チームのプランナーが月替わりで起業家を紹介する連載コラム。起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談をプランナー目線で紹介します。
【起業家図鑑】vol.29 コロナ禍も何のその?!オーダーメイドの”おいしい”で笑顔と幸せを提供するカフェ工房
2020年5月24日、緊急事態宣言の解除と同時にオープンしたカフェ工房「mori cafe」は、予定していた企業からの発注が全てキャンセルになり、苦境に立たされていた。
もちろん、イートインもできない。上新庄駅からは徒歩2分だが、住宅地の路地奥ということで、持ち帰り需要の一見さんの来店も期待できない。
そこで、オーナーの森京子さんは考えた。「お客さんを企業から個人にシフトして、ネット通販とテイクアウトからスタートしよう!」と。
森さんは、5年以上前からカフェの開業をめざし「あきない虎の穴」などの開業セミナーに参加していたが、知識が入れば入るほど、カフェの営業のみで経営を成り立たせるのは難しいと考えるようになった。
その思いは「あきない虎の穴」をきっかけに関わることになった、新規開業した時間制カフェの店長として店舗の立ち上げに携わった時により強くなった。インバウンド需要で沸いていた大阪ミナミでの開業だったが、売上げが思うように上がらず数年で閉店することになったのだ。
開業をあきらめなかった森さんは、できることから始めようと、働きながらマルシェ等への出店や日替わりオーナーの店などで経験を積みつつ、その様子をSNS等でマメに発信することで、自作の料理やお菓子のファンを作っていった。
そこからのつながりで、企業からイベント等で提供する料理やお菓子のオーダーメイドの仕事が入るようになり、年間契約に至るなど、常時使えるキッチンが必要になったことから、「工房メインのカフェ」という業態で金融機関から資金を調達し、開業準備に入った。
お客さんを企業から個人にシフトチェンジした結果、誕生日や記念日のプレゼント向けにオーダーメイドでお菓子やケーキ等を提供するサービスは、テレワークの普及によるおうち需要やプチギフト市場の成長と相まって大好評!
6月から店内でのカフェ利用が解禁されたことをSNSで知ったファンの人たちが来店するようになり、そこからの口コミによるオーダー依頼も増加しているという。
変化に対応しつつも、無理せず自分らしくたくましく。森さんは今日もニコニコ笑顔で店頭に立っている。
(取材・文/大阪産業創造館 創業支援チーム プランナー 浜田哲史)