ハイ・パートナーズ株式会社が贈る!外国人旅行者が歓喜する本格忍者体験とは?
鍛錬された精神と肉体で忍術を駆使し、諜報活動を行う忍者。アニメや映画のモチーフとしても使われ、今や「Ninja」は世界語に。「日本」と聞けば忍者を連想する外国人は少なくないだろう。
大阪・新今宮駅前の「忍者堂」は、衣装に着替えて忍者体験ができる施設。忍びの者としての歩き方や手裏剣投げなどを体験でき、忍者衣装のまま街を自由散策するコースも用意されている。2013年に開業し、現在の利用者は約95%が外国人。舞台俳優やスーツアクターが中心となり実演する、本格的な忍者アクションショーも人気だ。
運営するのは、複数言語に対応したデザインの制作を手掛けるハイ・パートナーズ株式会社。上海で飲食店プロデュースの経験を持つ辻村氏が2006年に創業した。「海外で仕事をしていたころ、『日本に行けば、忍者がいるんだろう?』と聞かれることが何度かあって。そのころから漠然と、忍者堂の構想はありました」。
訪日外国人向けメディア制作の経験から、集客ノウハウも豊富な同社。各国の祝日や滞在予想日数からタイミングを計ったPRも功を奏し、着実に利用者を増やしてきた。国・地域によって盛り上がるポイントもさまざまで、表情やリアクションを見ながら臨機応変に対応する。「アジアの人々は衣装を身に着けて写真に収めたがる傾向があり、刀の持ち方やポージングの提案をすると喜ばれます。一方欧米人は体験重視。とにかく、身体を動かしてやってみたい人が多い。忍者の動きについてのレクチャーも好評ですね」。
コロナ禍で体験プログラムもショーも開催できなかった苦しい時期は、動画撮影やラジオ番組の制作などを行い、忍者に関する情報を発信。休業することなく、演者たちは稽古を重ねて技を磨き続けてきた。厳しい数年を乗り越え、今年に入ってからの来場者はコロナ禍前の2019年度を上回った。すでに回復の手応えは十分に感じていると辻村氏は話す。
現在、円安の影響を受け、日本を訪れる外国人の数自体が増加。さらに、2025年には大阪・関西万博が開催される。毎日入る予約に対応すべく、スペースの移転・拡大も検討中だ。「訪日外国人の方からすると、コロナ禍前に比べて2割ほど物価が下がっている感覚だと思います。大阪は宿泊だけで、観光は京都・奈良に行くというこれまでの定番パターンをくつがえし、大阪を目的地として訪れてもらえるように。今が勝機だと捉えています」。
今年の秋にはナイジェリアでの忍者ショー開催も予定されている。体験やショーという無形の価値提供を通じ、和文化の普及にさらに注力していく。
【 インバウンド大胆予想 】
大阪・関西万博も追い風となり、今後、訪日外国人はより一層増えていくと思います。重要なのは、受け入れ側。演者と参加者が一体となり、忘れられない日本での体験を生み出す場をつくっていけるよう、人材や設備等、体制を整えていきたいです。事業拡大に向けて、大きなチャンスが見込めると考えています。
(取材・文/北浦あかね 写真/福永浩二)