印刷を軸に、時代の要望に応え続けて120年
総合印刷会社としてパッケージを中心とした包装資材やポスター、カタログやパンフレット、などの販促物といった多岐にわたる印刷物を手掛ける同社。創業はなんと1901年。“印刷”を軸に、誰もが知る日用品、医薬品、製菓といった大手メーカーなどと、120年以上取引を積み重ねる老舗企業だ。特徴は時流に即したビジネス展開と、川上から川下までを一気通貫して手掛けるノウハウや技術にある。
目下、注力している領域の一つが、パッケージ。「実は戦後、業界に先駆けてパッケージ業界に参入しました」と、クリエイティブディレクターの船越氏は歴史を振り返る。「今、食品メーカーからの相談が多いですね。たとえば、“バレンタインデー”といった時節の催しで、納期遅れはご法度。当社ではクオリティと使い勝手の良いパッケージのデザインから製造、配送までをトータルに担当することで、シビアな要件にも対応。その点がお客様に安心してお任せ頂いているところだと思います」と、仲井氏は社内のクリエイティブ体制に信頼を寄せる。「ブランディングから参画し、課題抽出~解決に至るまでをワンストップでできるのが、私たちの強み。デザインの段階で、製造や配送の工程を加味した提案することができ、クオリティとコストダウンの両立を可能にしています。とはいえ、“無茶ぶり”もありますよ(笑)。ただ、難しい問題ほど、達成すれば次の商談につながりますから」と船越氏。その笑みに経営を意識したクリエイターの顔が垣間見える。
コロナの影響も受けたが、その中で急増したテイクアウトや通販の波を捉えた。また、世界中で推進されているSDGsの波も、紙容器で脱プラを実現する同社には追い風。材質によるデザインの仕方の差異や扱いづらさ、一桁違う原価といった高いハードルを、一気通貫型事業モデルの強みを武器に超えていく。その技術力は、外資系企業から寄せられる厳しい条件もクリアする。
SNSの運用やHP制作など、印刷以外にも実績のある同社だが「あくまでも本質は、ものづくりです」と、船越氏と仲井氏は口を揃える。「将来的にはドローンでモノを運ぶ時代が来るかも知れません。そんな時には“丈夫で多機能な紙容器”が求められるでしょう。商品を包んで運ぶための容器の需要が絶えることは無いと思います」と船越氏。「お客様の要望をきめ細やかに聞きながら、的確に応えていきたい」と仲井氏。
したたかかつしなやかに。クリエイターと営業、それぞれの部門が専門性を尊重しながら協働する老舗企業は、これからも着実に進化を続けるだろう。
(取材・文/仲西俊光)
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