ものづくり

《講演録》製造業の組織改革~実践企業が語る士気を高める戦略とは~【1】

2022.01.11

 
◉階層間の意思疎通
一つ目は「階層間の意思疎通」が低下している状態。この状態では、経営者が戦略やビジョンを描いても現場で実行されず、一方の現場にすれば実情と乖離した戦略が描かれがちです。

改善のポイントとしては、コミュニケーションの結節点である管理職が「戦略」「ビジョン」「PDCA」「メンバー」のマネジメントを行い、経営層の考えていることを解釈・翻訳して現場や多部署、顧客といった上下、左右、内外に伝えていくことが求められます。

 
◉ナレッジの汎用化・標準化
次に、「ナレッジの汎用化・標準化」の低下が挙げられます。起こりがちなのは、業務マニュアルが変化速度に追いつかず機能していなかったり、従業員は指示されたことしか実行できなかったりします。

ナレッジの汎用化・標準化に向けて重要なことは、「形」や「型」だけではなく、「思想」を伝えるということです。具体的な思考や行動を示した「形」、言語化された判断基準や行動原理を示した「型」に加えて、物事に影響を及ぼす価値観や考え方などといった「思想」もあわせて伝えていくことが求められます。

 
◉関連部署間の連携
最後に「関連部署間の連携」の低下があります。ここでの問題点は、セクショナリズムが生じて自部署の利益や効率を優先し、他部署に対して非協力な状態にあることです。

部門・部署間の対立を解決するには、「個の問題」ではなく「間の問題」として組織成立の3要素を意識した組織づくりが必要になってきます。組織成立の3要素とは、「共通の目的」「協働意思」「コミュニケーション」のどれか一つが欠けても組織は成立しないという考えです。

ここで、社歴の浅い100人規模のあるメーカーの事例をご紹介します。中途入社が多く社員はみんなバラバラに働いていて、意思疎通がなく離職が多い状態でしたが、改善後は、お互いを尊重し合う風土が醸成され、エンゲージメントが高まりました。取り組みとしては、ビジョンに紐づいた「働き方ルールの策定」や社内報を作成して会社の方針や理念を共有したり、幹部向けの合宿などを通じて管理職から協働意思を高めていきました。さらに、社長と管理職の1on1を毎月実施するなど、コミュニケーションを絶やさないという状況をつくっていったのです。

>>>《講演録》製造業の組織改革~実践企業が語る士気を高める戦略とは~【2】に続く

 
(文/安藤智郎)

 

大澤 雷大氏(株式会社リンクアンドモチベーション VWESTカンパニー カンパニー長)
(株)リンクアンドモチベーション入社後、自社の新卒採用リーダーを担当。2006年に実施した当社初めてのM&A案件においてPMI(M&A 成立後の統合プロセス)に従事。その後、大手企業向け採用コンサルティングの営業責任者として、金融、IT、メーカー、サービスなど幅広い業界を担当。現在、西日本エリアの中堅・中小ベンチャー向け事業責任者を務めている。

株式会社リンクアンドモチベーション

VWESTカンパニー カンパニー長

大澤 雷大氏

https://www.lmi.ne.jp