【プレスリリースの作り方32】一年の締めくくり「調査リリース」とは?
「メディアに取り上げてもらえるプレスリリースの作り方」vol.32
元毎日放送記者で、ラジオ報道部長なども務めた大谷邦郎氏がお届けする連載です。
プレスリリースは、お金をかけずにメディアに取り上げてもらえることから、中小企業にとってはかけがえのない“武器”です。それだけに、その特徴を知り、扱い方を学び、日々研鑽してもらいたいものです。そこでこのコーナーでは、元・経済記者のボクがリリースをメディアに取り上げてもらえるそのポイントを、具体的事例を基に解説していきます。さぁ、皆さんも一緒に学んでいきましょう!
一年の終わり。皆さんが頑張ったことを改めて見つめ直してみませんか?そして、それを一度、まとめてみませんか?そして、そして、その“まとまったもの”が、メディアに取り上げてもらえたら何と幸運、何と嬉しいことでしょう!
そこで、ボクは毎年、年の瀬になるとお薦めするのが「調査リリース」という手法です。
例えば、自社のこの一年の売れ筋商品を洗い出し、ランク付けして発表しちゃう。例えば、この一年間行ってきたイベントで取り溜めてきたアンケート、あるいはマーケティングの際に集めたアンケートを分析して、今年一年のキーワードを探し出しちゃう。
これが意外と面白い。集計した側も「へぇ、そうだったんだ!」であるとか「わぁ、知らなかった!」ということが見えてくるんですよね~。
そこでまとめたものを、プレスリリースの体裁に整えることは、多分わけないこと。重要なのは「やってみること!」です。
さて、調査リリースとはこんな感じのものをいいます。
「いい風呂の日」である11月26日前に出すなど、タイミングも考慮し、ビジュアル的にも高い完成度を誇るリリースです。
ただ、肝心なのは、何をメインに取り上げるか、という点です。アンケート結果は、さまざまな視点から切り取ることが出来ます。そうした中で、何をキャッチに持っていくのかが、キーになるというわけです。
このリリースでは「働き世代女性の約4割がバスタイムは充実していない!」という点を切り取りました。「忙しさ」や「倹約のため」という世知辛さが出ていて面白いなぁと思いますが、ここに「コロナ禍」がどう影響したかなどの考察があれば、なお興味を惹いたんだろうなと思います。
しかし、この会社が評価できる点は、こうしたアンケートを定期的にまとめ発表しているというところ。
実際に今年は「夏の終わりに老け肌を実感!」という調査結果(何ともまぁ、心ざわつかすキャッチですなぁ~)が、Yahoo!ニュースに取り上げられたり、テレビの人気番組で問題に使われたりと、メディアでの露出も増え始めています。
ただ、こうした調査リリースで一点注意して欲しいことがあります。
それは、自社商品・自社サービスの売上に直接結びつくような結論を導き出さないということです。何というか“匂わす”というか“ほのめかす”程度に留めておくこと。
人間、常に「謙虚さが必要ですぞ!」と自戒の念も込めまして、今年のこのコーナーを締めさせていただきます。今年も一年間お付き合いいただきありがとうございました。
(文/大谷邦郎)
1961年、大阪・堺生まれ。 1984年にMBS(株式会社毎日放送)に入社。
大半をテレビ・ラジオの経済記者として過ごし、経済番組の制作にも携わる。その後、ラジオ報道部長、宣伝部長を歴任し、「取材する側」と「取材される側」の両方を経験。そのキャリアを活かし、2016年11月に独立し 「情報発信」や「危機管理広報」などに関するセミナーやコンサルを企業や大学・自治体などで行っている。現在「グッドニュース情報発信塾・塾長」。
著書:『関西唯の人 〜仕事を楽しむ人の図鑑』(星湖舎)等
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