オンライン上で免税品を密、手間なく購入
免税店登録された店において1店で5千円以上の買い物をすれば消費税がかからない免税販売。訪日外国人旅行者の購買意欲を促す制度として定着しているが、難点は店での購買から受け取りまでに必要な書類作成手続きなどが面倒なことだ。
この課題を解消すべく2020年4月から、書類の代わりにデータベース上に登録されたパスポート情報を照合するだけで買い物ができるように法律が改正された。そこに着目して開発されたのがオンライン免税購入アプリ「JaFun(ジャファン)」だ。
利用者はパスポート情報を登録すればアプリ上で自由に買い物ができ、ホテルや空港など購入した品を受け取る場所の指定もできる。
何カ所も店舗を回ったり、免税手続きで長時間列に並ばずにも済むため「コロナ禍の中、訪日外国人旅行者、店舗スタッフとも3密を避ける“防疫ツーリズム”のニーズにも応えられます」と株式会社トラベルテックラボの芝先氏。
アプリの画面に入ると訪日外国人観光客が購入する人気商品がランキング形式で紹介されているほか、複数店舗で買ったとしてもアプリ上での1度の買い物が5千円以上になれば免税が受けられるなど購買意欲を促す工夫が取り入れられている。
また、知人のSNS投稿を見て気になった商品なども調べられるよう写真検索機能もつけた。「例えば、地方のホテルのお茶請けで出された地元のお菓子が気になった時にも、写真を撮って調べて買うことができます」と開発を担当した阿利恩股份有限公司の邱氏。
株式会社トラベルテックラボは、インバウンド×地方創生×ITをキーワードに4年前の創業以降、特定の観光スポットでチェックインすると無料で通信量がチャージされるサービスをはじめ、訪日外国人観光客の旅行の利便性を高め、消費喚起につながるアプリ開発に取り組んできた。
ウェブマーケティングにも強みを持ち、各地の観光資源を紹介する「美しい日本」などのFacebookページを運営し、ひと月当たり200万リーチある集客力を生かしてインバウンドの動向やアプリの周知にも活用している。
また、阿利恩股份有限公司は、台湾人である邱氏が2016に来日し日本の複数企業へ勤務した後2019年12月に創業。主にシステムの受託開発などを行っているが、本社は台湾の新北市にある。
日本語も堪能な邱氏は日本市場で台湾人エンジニアを活用し受託開発を行っているが、両氏はある友人を通じで出会い、偶然同じビジネスに取り組んでいることを知り意気投合。今回のビジネスを日本と台湾の架け橋にするため共同開発している。
現在は外国からの入国制限が続きインバウンドビジネスは苦境だが、「例えば台湾の方へのアンケートでは、実に4割の方が制限解除後に訪日したいと考えていることがわかりました。解除後を見据えて今は地道に自社メディアでリピーターにとって価値ある地方の情報などを充実させているところです」と、虎視眈々と次のビジネスチャンスを狙っている。
(取材・文/山口裕史)
≪同社も出展!オススメイベント≫
これからの観光・旅行ビジネスを一緒に考えよう
【観光・旅行ビジネスMeetup2020】
今秋、観光・旅行に携わる企業が交流会や公開プレゼンテーションを通じて情報発信・情報交換・関係構築ができるイベントを開催!
株式会社トラベルテックラボ
代表取締役CEO
芝先 恵介氏
事業内容/インバウンド向けサービスの企画・開発・運営
阿利恩股份有限公司
CEO 邱 世偉氏
https://alion.jp/
事業内容/システム受託開発、自社サービス開発