専門家が教える!外国人労働力の活用ポイント
短期滞在を除く在留外国人の数は2019年6月末時点で282万人超。7年連続で増加は続いており、現在では実に日本の総人口の2%以上を占めるほど。今後この傾向は勢いを増し、少子高齢化・人口減少の対抗策として外国人労働力活用を本気で考えるべき時に来ているが、『積極的になれない』という意見も多い。
そこで、現在日本在住の外国人向け求職サイトや日本初の外国人就労インバウンドトレーニング施設を運営する株式会社YOLO JAPANのCEO加地氏に外国人労働力活用のアドバイスを聞いた。
「現在の外国人労働者の採用の主流は、自発的に日本で学問や社会、言語、文化を学ぶ留学生へのアプローチです。まずはアルバイトとしての採用をお薦めします。
アルバイト=“丁稚期間”と捉えれば、その間に人となりや実際の働きぶりを見ることはできますし、確信を得てから正社員登用を持ちかけてみては」と語る。
また『雇っても、すぐ退職するんじゃないか』と訝る意見に対しても加地氏は受け入れ側の留意点を挙げてくれた。
「まずは、放置しないこと。日本人でも誰も構ってくれないと孤独感・疎外感を感じますが、彼らも同じです。例えば同郷出身の外国人を複数名採用することも有効ですが、“大阪のおばちゃん”的な積極的なコミュニケーションのある職場なら大丈夫でしょう。
また彼らも私たちと同じように、人生の向上を求めています。給与水準もですが、キャリアアップには積極的ですから、能力の向上に合わせてやりがいのある業務を任せ、可能性を広げることも不可欠です。
また、最も大切なのが“何を任せるか”を決めること。例えば言語力の低い人材を迎えるなら、最小限の会話力でも仕事が出来るよう業務を整理・設定すると良いでしょう」。
最後に加地氏はこう付け加える。
「日本は外国人にとっては“選択肢のひとつ”。国を出る勇気とバイタリティを持つ彼らに『この国で働きたい』と選んでもらえる強い魅力を持たなければ労働力は確保できなくなります。
まずは日本人が国際的な視点で労働環境の整備を行う…意識の変革に取り組みましょう」。
(取材・文/松畑聡 写真/福永浩二)