プレスリリースの作り方

【プレスリリースの作り方27】“その後の成長の証”と“謙虚さ”が生んだ「二匹目のドジョウ」

2020.07.22


「メディアに取り上げてもらえるプレスリリースの作り方」vol.27

元毎日放送記者で、ラジオ報道部長なども務めた大谷邦郎氏がお届けする連載です。

プレスリリースは、お金をかけずにメディアに取り上げてもらえることから、中小企業にとってはかけがえのない“武器”です。それだけに、その特徴を知り、扱い方を学び、日々研鑽してもらいたいものです。そこでこのコーナーでは、元・経済記者のボクがリリースをメディアに取り上げてもらえるそのポイントを、具体的事例を基に解説していきます。さぁ、皆さんも一緒に学んでいきましょう!

「二匹目のドジョウ」という諺がありますよね。これ、正確に書くと・・・「柳の下の二匹目のドジョウを狙う」となります。

さて、皆さんにお聞きましょう。貴方なら、二匹目のドジョウを狙いますか?諺の上では、「一度成功を収めたからといって、再び同じ様に上手くいくとは限らない」という意味になります。

しかし、「いやいや、可能性がゼロでないなら、チャレンジする意義はある」という方もおられるかと思います。さて、貴方はどっち派ですか?

 
ここに、プレスリリースに関して「二匹目のドジョウを狙った会社」があります。

今年の3月にこのコラムでご紹介しましたので、覚えておいでの方も多いと思いますが、発達障害の当事者による自助団体とコラボして、発達障害者だけでなく誰もが使いやすいノートを作った紙製品メーカーです。

このノートは複数の大手新聞に取り上げてもらえ、大きな反響を呼びました。しかし、この会社では、発売以降、大変気になる点があったのです。

それは「送料」です。1冊税込み280円の商品ですが、送料は4冊までなら385円。それ以上の冊数ならば、さらに上がっていく。これは、なかなかの負担ですよね。

そこで今回考え出したアイデアが、「送料全国一律250円キャンペーン」。購入者目線に立った“優しい”決断です。

そこで、これをリリースしたいとなったんですが、さて、柳の下に二匹目のドジョウはいたのでしょうか?確かに、購入者にとっては朗報ですが、ニュースとまではいえません。いわば会社側からの「告知」です。

当たり前ではありますが、メディアはニュースでないと取り上げてくれません。
しかし、結論からいうと、前回ほどではありませんが、今回もいくつかのメディアには記事として掲載されました。

そのリリースが、こちらです。

 

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わかりますか?「発売3ヶ月で3,000冊突破」という情報を加えたことから、柳の下にドジョウが現れたのです。

本音をいうと「送料が安くなったので、これを機会に買ってよ」ということを会社側はアピールしたいのですが、そこはグッと押さえて、客観的なデータを紹介し、ちょっとした“ブーム”や“話題”になったことを伝えたのです。そこにニュース性を見いだしてくれたメディアが記事にしたという訳。

 
ただ闇雲に柳の下にザルを差し入れてもドジョウは見つかりません。続報の成否の鍵は、しっかりと“その後の成長の証を示すこと”と、大いなる“謙虚さ”が握っているのです。

(文/大谷邦郎)

 

大谷 邦郎氏
1961年、大阪・堺生まれ。 1984年にMBS(株式会社毎日放送)に入社。
大半をテレビ・ラジオの経済記者として過ごし、経済番組の制作にも携わる。その後、ラジオ報道部長、宣伝部長を歴任し、「取材する側」と「取材される側」の両方を経験。そのキャリアを活かし、2016年11月に独立し 「情報発信」や「危機管理広報」などに関するセミナーやコンサルを企業や大学・自治体などで行っている。現在「グッドニュース情報発信塾・塾長」。
著書:『関西唯の人 〜仕事を楽しむ人の図鑑』(星湖舎)等

 
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