産創館トピックス/講演録

《講演録》営業会社から注目スタートアップ企業へ!akippaのビジネス展開&資金調達ストーリー【後編】

2020.01.20

 
▶ピッチイベント優勝により社内の一体感醸成、優秀な人材の獲得へ

無事にアプリの完成を迎え、2014年4月にサービスを開始し、『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)にも出演しました。

しかし、初月の売上は2万円しかなく、社内でもakippaの展望には懐疑的でした。それでもこのサービスを理解してくれる人が絶対にいると信じて出資者を探しました。

そして、株式会社ディー・エヌ・エーから、当時まだ日本では浸透していなかったシェアリング・エコノミーの事業モデルであることを評価していただき、5,000万円の出資を受けました。

 
2014年12月にはInfinity Ventures Summit(IVS)のピッチイベント「IVS Launch Pad」で優勝しました。

これはスタートアップの登竜門とされるイベントで、2012年の勝者は「クラウドワークス」、2013年は「freee」でした。ここで優勝したことで社内の一体感が高まりました。

さらに、IT業界でのakippaの認知度が上がり、googleからの転職者が現れました。これを広報的に打ち出し、以降の採用方針は「自分よりも優秀な人を採用する」としました。

 
▶ベンチャーが大手企業参入に対抗できた4つの施策

会員数が20万人くらいにまで拡大したころ、半年間に名だたる大手企業が6社もこの業界に参入してきました。リスペクトする企業が入ってきたことは駐車場シェアリングに対する認知度は向上しますし、光栄なことではありますが、私たちは4つの競合対策をとりました。

 
まずは広報を強化しました。テレビに出る方法について本で調べたり、知人を介してテレビ局の企画会議の様子を見学したりして学びました。そして編み出したのが毎週数本のプレスリリースをマスコミ各社に送るという手法です。

ポイントは確実に読んでもらえるように透明のA4封筒にいれたこと、テレビ局に直接送付するのではなく新聞社や出版社に送付したことです。なぜかというと、テレビ局の企画会議では新聞や雑誌の記事がネタとして持ち込まれていたからです。この方法が功を奏し、akkipaは数々の番組で取り上げられました。

 
2つ目は自治体や大企業との連携です。大手と組むことでakippaの知名度向上につながります。

多角化している大企業にとって、大企業同士の連携はなんらかの事業がバッティングする可能性があるので実現しづらいのですが、ワンサービスのベンチャー企業となら連携がしやすいのです。

 
3つ目は独自ハードウェアの開発です。これでゲート式駐車場でもakippaが活用できるようになりました。アメリカで目にしたQRコードで駐車場ゲートが開く仕組みを日本でも実現しようと考え、株式会社アートと共同で「シェアゲート」を開発しました。

この端末を駐車場のゲート機器に取り付ければ、ドライバーはakippaのアプリを介してゲート開閉が可能になります。過去に通信機器の営業をやっていた経験から、収穫逓増型ビジネスをするのなら「シェアゲート」端末の導入・保守は無料にすべきと判断しました。

 
そして4つ目は資金調達です。現在15社から合計35億円を調達しています。大企業が社内で新規事業を起こしたとしても予算は年間3億円程度です。私たちは一事業に年間10億円を投下できるので、大企業とも十分に戦えます。

 
これら4つの競合対策の結果、参入してきた大手企業も続々と撤退し、現在akippaは駐車場シェアリングサービスのシェアの6割を占めています。
 

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akippa株式会社

代表取締役社長CEO

金谷 元気氏

https://akippa.co.jp/