業界経験を資源に業務効率化を推進
【起業家図鑑】
大阪産業創造館 創業支援チームのプランナーが月替わりで起業家を紹介する連載コラム。起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談をプランナー目線で紹介します。
【起業家図鑑】vol.20 業界経験を資源に業務効率化を推進
「困った。今週納品しなければならないのに在庫がない。どこか在庫をもっている会社はないか?」是枝氏は、メーカーや同業者に手あたりしだい深夜まで電話をした。
当時、是枝氏は水道やトイレなどの住宅設備、衛生機器を扱う商社に勤務。何度も経験した在庫欠品の困りごとを解決できないかと考え、在庫のない商品を求める会社と、在庫をもつ会社を結びつけるマッチングシステムを提供する事業アイデアを思いつき起業した。
10年以上勤務する会社を退職し、システム会社とマッチングシステム制作の相談を始めた。手持ちの資金をつぎ込む覚悟はあった。
産創館のスタッフコンサルタントに相談し、まず衛生機器の在庫不足を解決する簡単なWebページを立ち上げ、人的な作業で在庫を捜し出すサービスを開始。そこで見込みとなる利用者に参加を呼び掛けるとともに、マッチングサービスの需要のヒアリングを実施した。
ヒアリングを実施する中でマッチングシステムに利用者を集めることの難しさとともに、自身が提供できる図面からの機器の拾い出し、現場打合せやメーカーへの注文作業の代行などの業界特有の需要が多くあることを感じた。
マッチングシステムの利用者集客が難しいと感じ、システム制作の投資をいったん保留し、ヒアリングで知り合った住宅設備機器の商社の要望を受け、顧客の要望に応じた業務支援を開始した。業界の人手不足も手伝って事業は大きく成長。過去の経験を生かした商品知識と業界ネットワークが強みだ。
その後、施工管理や商品卸販売へと事業の幅を広げ、個人事業から法人化へも視野に入る。是枝氏は、今後も業務の効率化をテーマに顧客の需要から新たなサービスを開拓していきたいと考えている。
(取材・文/大阪産業創造館 創業支援チーム
起業プログラム&デスク「立志庵」マネージャー 明田豊広)
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