香りの力で暮らしを、ビジネスを豊かに

天然香料を使った香水などをそろえた香りの専門店「Aroma & Beauty Neroli」を5月、本社近くにオープンした。同社にとっては初となる一般消費者もターゲットにした新事業だ。店では20種類のアロマから好みに合わせてブレンドし自分だけの香りを作ることができる。

早速プロスポーツ選手から集中力を高めるために使う香りをつくりたいとの相談も舞い込んでいる。「香りを体感してもらうことで、個人だけでなく企業向けにも香りによる独自の演出、ブランディングを提案していきたい」と山本氏は開設の狙いを語る。

創業来、ある石鹸会社の香料製造を一手に行ってきた。山本氏が30年前に同社に入社して以降1社依存からの脱却を図るべく、シャンプー、入浴剤、飲料のメーカーなどに受託先を広げていった。

一方でブルガリアのローズ、フランスのラベンダーなど業界でいち早く天然香料の仕入れに注力。アロマセラピーの浸透により天然精油の需要が拡大し、今では同業者向けの販売も多い。近年は有機栽培した植物から抽出されるオーガニック精油の扱いも増やしている。

自動調合機(アロマトロン)。香粧品用の原料の液体原料を指定された処方に従って自動で調合することができ、作業のスピードアップを図っている。

2,000種類を超える原料から30~50種類を調合し、顧客の意向を汲んで香りを作り出すのは調香師の仕事。山本氏もその一人で、人気番組「探偵!ナイトスクープ」の香りにかかわる難題では必ず声がかかり、これまでの出演回数は30回にのぼる。

寄せられる相談でも多いのは悪臭解消法。悪臭を取り込んで良い香りに変える手法で解決した回の放映後、大手繊維メーカー、シキボウの担当者から「人工肛門を装着している人が困っている臭いを抑えられないか」との相談が舞い込んだ。共同で開発した消臭剤「デオマジック」はヒット商品に育っている。

五感のうち嗅覚だけが脳の大脳辺縁系に直接つながっているとされ、香りが人に呼び覚ます記憶はより鮮明で感情を伴いやすいという。また、においに対する感度、嗜好は人によって異なるため、五感の中でも最も奥深い世界ともされる。

昔の記憶を呼び覚ますことで認知症の治療に香りを使えないか。線香の煙の香りを再現すれば火を使わずに安全でかさばらずに済むのではないか。関西・大阪万博で各国のパビリオン向けに香りによる演出を提案できないか…。

「日本人ならではの繊細な感覚を生かし日本発の香りを世界に発信していきたい」と香りビジネスの夢は膨らむ。

代表取締役社長 山本芳邦氏

(取材・文/山口 裕史)

2019年07月22日
山本香料株式会社
代表取締役社長  
山本 芳邦氏
事業内容/各種香料・精油などの製造・販売

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