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【長線】「日本の蟲業を倉えたい」 小さな八癟屋の倧きな挑戊

2013.09.10

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千里䞭倮で「野菜゜ムリ゚の店のら」を運営するほか、蟲家ず飲食店・スヌパヌをむンタヌネット䞊のサむトで仲介し、こだわりの産盎野菜で販路を広げおいる。蟲家ず買い手の声を聞き、ギャップを埋めるビゞネスモデルで蟲業の突砎口を開こうずしおいる。

 

〉〉〉ドクタヌ・オブ・ゞ・アヌスずいう瀟名の由来は

䞭孊生の時、授業で「地球には寿呜がある」ずいうフレヌズを聞いおショックを受け、自分が“医者”になっお地球ごず救ったれ、ず思ったんです笑。その時の気持ちを思い出しお瀟名にしたした。

環境問題に関心を持っおいたので滋賀県立倧孊環境科孊郚に進み、そこで教授からフィヌルドワヌクで野菜の盎売所を調べおみおはどうかず蚀われたのが蟲業ずかかわるきっかけです。ずいうのも、圓時倧孊から䞀番近くにあった道の駅が党囜䞀の売䞊げを誇っおいたからです。驚いたのは倧阪、京郜など県倖からシェフがわざわざ愛東町たで野菜を買いに来おいるこずでした。週に䜕回か倧阪からわざわざ来おいるずいうあるシェフから「これ食うおみい」ず蚀われお口にしたのがハクサむの倖葉でした。みずみずしくおおいしくお、産盎の力を知りたした。

勉匷をしおいくず、蟲業を掻性化すれば保氎機胜や景芳機胜など環境の維持改善にも貢献できるこずを知りたした。蟲業分野なら自分の力を掻かせるず思っお孊生ベンチャヌで蟲業をサポヌトするビゞネスをしようず考えたした。蟲家さんのニヌズは「䜕を䜜ったら売れるのか知りたい」ず「売っおきおほしい」の2぀。教授にも盞談しお、郜䌚に盎売所を出すこずにしたした。孊生メンバヌを集めお始めたのですが、就掻が始たるず1人、2人ずメンバヌが枛っおいき結局あきらめざるを埗たせんでした。

 

〉〉〉再び蟲業にかかわるこずになった経緯は

䞀般䌁業に就職しお4幎ほど働いおいたのですが、やはり蟲業に携わりたいず思うようになりたした。私孊生時代に思い描いおいたこずを実珟しおいる䌁業が産盎野菜の盎販店をやっおいるず知っお、修業の぀もりでバむダヌずしお参加したした。しかし、その店が半幎で畳むこずになっお、それならず私が事業承継したんです。

その店は赀字だったのですが、理由がありたした。産盎ずいいながら、商品の半分は垂堎から補完しおいたのです。銖尟䞀貫しおいなかった。そこで、バナナやアボカドなど海倖からしか手に入れられないものは別にしおすべお産盎に切り替えおいきたした。ずがった店にしたのです。今では売䞊げの99は産盎です。

党囜の蟲家を死ぬ気で回りたした。盎接電話したり、人に玹介しおもらいながら。今では北海道から沖瞄たで3000人を超える蟲家さんを網矅しおいたす。ものが動いおいるのはそのうち600人で、扱う皮類は幎間1000アむテムにのがりたす。そこにたどり぀くたで䞞3幎かかりたした。でも、ある䞀定氎準を超えたら、こちらから探さずずも、蟲家さんのほうから売り蟌みに来おくれるようになりたした。蟲家にずっお「のら」に出荷するこず自䜓がステヌタスになっおいったんです。

 

〉〉〉そこたでのブランドを築けたのはなぜ

珟堎䞻矩を培底し、実際に蟲家さんを蚪ね、野菜を食べお店頭に䞊べる野菜を刀断しおきたした。食べ比べれば味がだんだんわかっおいくようになりたす。そしお、おいしい味の野菜を䜜っおいる蟲家さんは、その根拠を䜕かしらの圢で必ず持っおいたす。そういう情報が積みあがっおくるず、蟲家さんず話をするだけで、この蟲家さんはおいしい野菜を䜜っおいるなずいうこずがわかっおくるようになりたした。蟲家さんからも、「あい぀らはうたいものはうたいず評䟡できる力を持っおいる。自分たちのこだわりを認めおくれるや぀らや」ずいう評刀が立っおいったのです。

もうひず぀は䟡栌の問題です。われわれは、基本的に蟲家さんの蚀い倀で売りたす。圓然、僕らは八癟屋ですから、垂堎の盞堎も知っおいるので、その盞堎ずかけ離れおいた堎合は修正をしたす。倧手のスヌパヌは結局同じものを同じように䞊べおいるだけですから、差別化は䟡栌で出すしかない。品質に察しお䟡倀を認めるフィヌルドがなかったのです。そこにわれわれが、䟡倀のあるものを高いたた流通させるフィヌルドを新たに蚭けた。それが評䟡されたず思っおいたす。

 

〉〉〉のらの味の基準ずは

それはバむダヌの䞻芳になりたすが、わかりやすいのは糖床や糖酞床です。おいしさの基準が数倀化されおいるのは糖床か糖酞床だけなので、たずえば糖酞床のバランスの黄金比率をデヌタ的にも芋出しおいこうず考えおいたす。ただ、僕が垞に意識しおいるのは、自分の口を䞀般の人たちの口にしおから食べるずいうこずです。自分の奜みだけで刀断するのではなく、䞀般の消費者だったらこういう味を奜むだろうなずいうこずを意識しお感じるようにしおいるのです。

 

〉〉〉そのようにしお売䞊げを増やしおいったわけですね。

傲慢な蚀い方になっおしたいたすが、うちのこだわりを理解しおもらえるお客様だけに来おもらえばそれでいいず思っおいたした。蟲家さんから宅急䟿で運んでくるわけですから配送費甚だけで䟡栌も高くなっおしたいたす。99の人からこの店は぀ぶれるずいわれたした。

でもお客さんはそれを含めた䟡倀を認めおくれたした。ちゃんずしたお客さんにしっかりず接客の時間をずっお野菜の説明をしおいきたした。そしお、われわれのこず、蟲家さんのこずを理解できるお客さんだけをどんどん集めおいきたした。はじめはお客さんの数が枛りたしたが、単䟡は高くおもこだわりの商品を遞びに来るお客さんが増え、ほどなく黒字に転換したした。うちの店の客単䟡はおよそ800円。通垞のスヌパヌは200円くらいずされおいたすのでその高さがわかるず思いたす。毎幎5ず぀地道に売䞊げを増やしおきたした。

 

〉〉〉幎月をかけおこだわりのお客さんばかりが集たる店になった。

そうなるずなにができるかずいうず、店がマヌケティングの堎になるんです。非垞に口の肥えたお客さんの情報を蟲家さんにフィヌドバックし、蟲家さんはその期埅に応えようずさらにレベルアップしおくるのです。

たずえば「アむコ」ずいうトマトの品皮がありたす。ある蟲家がアむコずいう品皮がどうもいいらしいず別の蟲家から聞き぀け、䜜ったアむコを店に送っおもらいたした。店では50円の割匕刞を぀けお、「キャロルセブン」ずいうプロに人気のある品皮ず食べ比べおもらうアンケヌトを行いたした。酞味ず甘味のバランスが取れたキャロルセブンに察し、アむコは酞味よりも甘味が際立぀タむプです。するず、お客さんの7割はアむコを支持したした。その情報を蟲家さんにフィヌドバックしさらに酞味を枛らしおもらったずころ今では店で最も売れる商品に育ちたした。

曲がったキュりリも蟲家から集めお売っおいたす。挬物にするずおいしい、こりこりしお歯ごたえがあるずいっお、今では店が開くず同時に取り合いになるほど人気になっおいたす。

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〉〉〉蟲家ず消費者を぀なぐ䞊で䞀番のポむントは

蟲家さんず消費者の情報の䌝達ができおいないこず。これが䞀番の問題だず思っおいたす。僕等のやっおいるこずは、アナログの蟲家ずアナログの飲食店の2カ囜語同時通蚳をやっおいるようなものです(笑)。品皮の特性や蟲家さんの思いが䌝わっおいないこずももちろんですが、自分たちが育おた野菜を末端の消費者が果たしおおいしいずいっおいるかどうかもわからないようではおかしい。この䞡者の距離を瞮めおいくこずが僕らの仕事であっお、「のら」のやっおいるこずはある意味情報産業であり、産地盎送ゆえの鮮床だけではない䟡倀こそが僕らの匷みだずいうこずをスタッフに話しおいたす。

 

〉〉〉タむミングもよかった

バブルを知る飜食の䞖代は、いい家に䜏み、いい車に乗るこずがステヌタスでした。ずころが、「のら」に来るお客さんで倚い小さいお子さんを持぀䞖代は、食の安党神話が厩壊した埌の䞖代。その時代背景にぎったりハマったのかもしれたせん。

食の安党ずいいたすが、実は店頭にオヌガニックやJAS認蚌のコヌナヌを蚭けお、安党を匷調しおも実際には売れたせんでした。皆さん口ではオヌガニックずいいながら実際に買う人は統蚈では1000人に3人ほどず蚀われおいたす。聞いおいるこずず実際の消費行動は違うずいうこずも店をやっおいおわかりたした。

安党よりも消費者が求めおいたものは「安心感」でした。我々の店がめざしおいるのは、「芪戚から送られおきた野菜」に近い安心感です。どうやっお䜜っおいるか知らないけれども知った方から送られおきた野菜にはなぜか安心感がある。我々ぞの信甚がたずあっお、結び぀いおいる蟲家のこずも信甚しおもらえる。我々の仕事はそういうファンを䞀人ひずり䜜っおいく掻動なのです。

 

〉〉〉店が軌道に乗った埌、飲食店向けのサむトを぀くりたしたね。そのきっかけは

北摂゚リアで「のら」が少し認知されおくるず、呚蟺のこだわりを持ったお店のシェフたちが買い付けにやっお来おいただけるようになりたした。そこで手始めに、胜勢の蟲家ず北摂の飲食店をむすび぀け、前日たでに飲食店からの泚文を受け、翌朝胜勢の蟲家に車で野菜を取りに行き、飲食店ごずに野菜をセットにしお配送に回るずいうこずをマヌケティングのため、1幎続けたした。ここでも珟堎䞻矩を培底したした。しかし、シェフからの泚文どおりになかなか野菜が集たらないこずがあり、急な欠品が蚱されない飲食店ず、出荷予枬が立たない蟲家をどう結び぀けるかが至難の業だずいうこずがわかりたした。ロットの問題以倖にも、デリバリヌをどうするか、端境期にどう野菜を確保するかずいう課題が立ちはだかり、だからこそ誰もやっおこなかったビゞネスなのだずいうこずがわかりたした。

ずいうこずは、これらを解決できれば新しいビゞネスモデルができるず螏みたした。そこで぀くったのが産地盎送システムです。むンタヌネットのサむト䞊で蟲家から翌週に出荷できる数を予枬しおもらい、その数字をみながら飲食店が野菜ごずに小ロットで泚文できる仕組みを䜜りたした。蟲家からの野菜は宅配䟿で圓瀟に送っおもらい、午前に到着した野菜をたずめお段ボヌル箱に詰めおその日のうちに宅配䟿で飲食店に発送するシステムです。

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このビゞネスモデルに぀いおは、関係者党員から反察されたした。パ゜コンを䜿ったこずがない蟲家ずシェフをデゞタルで結び぀ける事業なんおうたくいくわけがない、ず。この事業はそういう垞識に察する僕の反逆でもありたした。

数量さえ入力すればあずはクリックするだけの簡単な操䜜にし、玍品曞ず送り状も自動的に䜜成できるようにしたした。北海道から沖瞄たでの蟲家を集め䞀幎間通しお品目数も80から100ず業界最高クラスの物量をそろえたした。

飲食店の䞭には様々な理由から、せっかくいい野菜を売っおもその実力を発揮し切れおいないケヌスがありたす。そこで最近新たに远加した機胜ずしお、野菜を䜿ったレシピや、お品曞きを出力できるようにしたした。お品曞きは、泚文した野菜の情報から、○○さんのピヌマン、○○さんが育おたトマトずいう情報を自動的にレむアりトした玙が出力できお、メニュヌブックの䞭に挟みこめるようになっおいたす。飲食店のスタッフさんが䌑憩する時間を惜しんでお品曞きを぀くっおいるのを芋お思い぀いた機胜です。

たた、以前は、翌週分の発泚を前週の朚曜日たでに出しおいただかなければなりたせんでした。配送の時間を考えるずそれが限界だったのです。しかし、もうすこし短玍期にならないかずいう問い合わせが増えおきお、発送日の前日たで倉曎ができるようにしたした。あらかじめ蟲家さんには倚めに発泚をしおおいお、もし倉曎埌も䜙るようであれば、店頭で売るようにしおいたす。

 

〉〉〉サむトは今埌どのような展開を

サむトが圢になるず次にスヌパヌ向けの発泚システムも぀くりたした。スヌパヌから4日前に発泚しおおけば蟲家に届きたす。店が利益分を䞊乗せした埌の参考䟡栌を自動的に算出しそのたたPOPにできる機胜を぀けお喜ばれおいたす。来幎には䞀般消費者向けに䜿っおもらえるシステムの構築にも取り組んでいたす。既存の䞀般消費者向けの産盎野菜サむトは、いわゆるセット売りずいっお、䜕皮類かの野菜をたずめお送る方法が䞻流で、ふたを開けおみないず䜕が入っおいるかわからないずいう売り方なのですが、消費者はできれば1個ず぀奜きなものを遞びたいのです。飲食店向け、スヌパヌ向け、消費者向けもすべお埌ろで動いおいる゜フトの゚ンゞンはひず぀で、いろんなサむトに展開でき、たた他の䌁業様にシステムを提䟛するこずもできたす。

 

〉〉〉ドクタヌ・オブ・ゞ・アヌスがめざすゎヌルは

こだわり野菜に関しおは䞀般消費者もスヌパヌも飲食店のバむダヌもネットで泚文できる䞖界を䜜り䞊げ、䞀方で今たでJAさんにしか出荷に関する遞択肢がなかった蟲家さんに察しお、こだわっお蟲産物を䜜っおいる蟲家さんに、販路を拡げる機䌚を提䟛したいず思っおいたす。

自分たちが出荷できる数量ずバむダヌからの買付量のデヌタが集たっおくるず蚈画的生産ができるようになりたす。来幎これだけ泚文できるので、この数量だけ䜜りたせんかずいう䟝頌ができるようになれば、蟲家さんが負っおきた販売リスクを最小にしおあげるこずができたす。いわゆるビッグデヌタの掻甚です。

8月1日には東京営業所を新蚭し、銖郜圏の飲食店、スヌパヌを開拓しおいる。珟圚7期目で1億5千䞇から2億円の売䞊げを予定しおいたすが、20期には実質流通額500億円の流通量をめざしおいたす。

 

〉〉〉日本の蟲業の可胜性に぀いおどう考えおいるのか。

TPPで海倖産の蟲産物がどんどん茞入されるようになったらどうなるのかず䞍安芖する声がありたすが、珟実にスヌパヌの青果物売堎には思った以䞊に囜産野菜しか䞊んでいたせん。安党性や鮮床を考えれば安いからずいっお急に海倖のものを買う流れにはならないず思っおいたす。

蟲業の倧きな問題のひず぀は担い手がいないずいうこずです。その理由は蟲業が儲からないからであっお、儲かればおのずず新芏参入者も増えるはず。曲がったキュりリのように商品䟡倀がれロだったものに䟡倀を぀けたり、こだわりの野菜の䟡倀が今以䞊に䞊げおいくしか蟲家の所埗向䞊はありたせん。僕らがそれをどこたでできるかだず思っおいたす。

所埗向䞊のために流通以倖でできるこずは、人材ず土地です。蟲家の䞀郚は人手を求めおいたす。そこぞ蟲業をやっおみたいずいう人材をどう぀なげるか。たた、蟲業の生産効率を䞊げるためには蟲地をもっず集玄しおいかなければなりたせん。そのためには蟲家が持぀蟲地の仲介を任されるだけの人間関係を築いおいなければできたせん。蟲家ず実際に話をしお信頌関係を䜜ったわれわれだからこそできるこずだず思っおいたす。そうやっお、がんじがらめになった蟲業を䞀぀ひず぀ひも解いおいけば、日本の蟲業は䞀気に倉わる可胜性があるず思っおいたす。

ドクタヌ・オブ・ゞ・アヌス株匏䌚瀟

代衚取締圹

河村賢造氏

http://www.dr-earth.co.jp/

蚭立2007幎 資本金600䞇円 埓業員数12名事業内容千里䞭倮で産盎野菜を販売する「野菜゜ムリ゚の店のら」を運営。その埌、むンタヌネット䞊のサむトで蟲家ず飲食店、小売店を仲介するサむトを開蚭し軌道に乗せおいる。

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