Vol.9 鉄鋼製品や産業機械器具の卸売業集積でトップを走る「西区」
近畿圏の平均的な産業構成と比較して、突出して大阪市に集積する産業は卸売業です。それは歴史的な都市の発展を通じて築かれたもので、都心エリアを中心にさまざまな産業分野の卸売業が立地しています。
卸売業全体でみると、大手商社の集積などもあって、また商業地区面積も最大の中央区に最も集積しています(表参照)。
西区は事業所数では北区を僅かに上回りますが、商品販売額や従業者数では北区とは格差があることから、中小卸売業者が比較的狭い商圏を相手に取引している特徴が指摘できます。
また、淀川区は広域交通アクセスの利便性からコンパクトなエリアに高密度に集積する特徴が読み取れ、浪速区は卸売業よりも小売業のウェイトが高い様子がうかがえます。
次に、業種別で分析することにより、各区の得意な産業分野が見えます。卸売業は中分類業種では、各種商品、繊維・衣服等、飲食料品、建築材料,鉱物・金属材料等、機械器具、および、その他の6業種に分かれます。
そこで、事業所数、従業者数、商品販売額の各指標について、大阪市全体の業種構成比に対する、主要4区の業種構成比の大小を指数として算出(特化係数)した結果、西区は建築材料,鉱物・金属材料等に関して、いずれの指標でも他の3区を凌ぐ高い特化係数を誇ることがわかります。
また、機械器具でも全市平均以上の特化係数を有しています。これらが西区の卸売業の大まかな特徴です。
より詳細な小分類業種で特性を探ると、建築材料,鉱物・金属材料等の中では鉄鋼製品に関して、また、機械器具では産業機械器具に関して、ともに事業所数と従業者数でトップにあり、全市シェアでは鉄鋼製品で約3割、産業機械器具で約2割を占めます。
両業種を総合すると、産業用機械の分野において製品と金属材料を提供するビジネスに特化した卸売業集積が特徴と言えます。
ただし、商品販売額ではいずれも中央区がトップであることから、西区の事業所は取引先の企業規模がさほど大きくなく、きめ細かく対応する姿が浮かび上がってきます。
(取材・文/大阪産業創造館 徳田裕平)
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