プレスリリースの作り方

【プレスリリースの作り方】メディア側に「取材に行ってみよう」と思わせる工夫や仕掛けとは?

2018.07.05

「メディアに取り上げてもらえるプレスリリースの作り方」vol.3
元毎日放送記者で、ラジオ報道部長なども務めた大谷邦郎氏がお届けする連載です。

プレスリリースは、お金をかけずにメディアに取り上げてもらえることから、中小企業にとってはかけがえのない“武器”です。それだけに、その特徴を知り、扱い方を学び、日々研鑽してもらいたいものです。
そこでこのコーナーでは、元・経済記者のボクがリリースをメディアに取り上げてもらえるそのポイントを、具体的事例を基に解説していきます。
さぁ、皆さんも一緒に学んでいきましょう!

「やってみなはれ!やらなわからしまへんで!!」
ご存知、サントリー創業者の鳥井信治郎氏が残した名言です。

もちろん情報発信でもそう。プレスリリースにおいてもそうです。やってみないことには、何も学べません。
しかし、流石に今回はドキドキしました。と言うのも、リリースの相談を受けたのは、創業からまだ1年半程度しか経っていないベンチャー企業で、「T-ICU」と言う遠隔集中治療を手掛けようとする会社でした。

「手掛ける会社」ではなく「手掛けようとする会社」と書いたのは、この時点では、1件も契約を取れていなかったからです。そう、この時点では全く名もなき、加えて、ほとんど売上げもなき会社でした。しかし、最初に契約がまとまった際にはプレスリリースを出すべく準備をしていましたし、やるなら「記者会見」まで実施すべきだと思っていました。しかし、会社側は「記者会見などしても、記者の方々は来てくれるんですか?」と心配顔。そこで冒頭の「やってみなはれ!やらなわからしまへんで!!」と言う名言をお借りしたと言う次第です。

さて、これがその時のプレスリリースです。


さすがに「記者会見」と言う文言は使いませんでしたが、「病院の中で遠隔集中治療とはどんなものか?がわかるデモンストレーションをしますから、お越しください」と言った内容にしました。では、どこにお越しくださいなのかと言うと、契約をして下さった病院に、です。今回その病院は、何と千葉!せめて関西のどこかであれば、何とかさまざまなツテを辿って記者の方々をお呼び出来るかも知れませんが、遠く離れた千葉だと「アウェイ」感が満載です。もう正直「賭け」に近かったと言っても過言ではありません。しかし、準備だけは抜かりなく病院側とも打ち合わせをして、当日を待ちました。ちょうどその頃は、あの「日大・アメフト騒動」の渦中で、メディアの関心は、完全にそちらに向いていましたが、何とか放送局1社、新聞社1社が取材に来てくれました。


その時の写真です。社長も少し誇らしげ。本当にホッとしました。

しかし、プレスリリースの内容が「契約を締結しました」と言うだけでは、取材は入ったでしょうか?多分、誰も来なかったと思います。病院で遠隔集中治療のデモンストレーションを行うという、メディア側に「取材に行ってみようか」と思わせる工夫や仕掛けが必要で、それをリリースにも上手く盛り込んでいかねばならないのです。その点、ご理解いただけましたら、皆さんも、
さぁ、やってみなはれ!

(文/大谷邦郎)

大谷 邦郎氏
1961年、大阪・堺生まれ。 1984年にMBS(株式会社毎日放送)に入社。
大半をテレビ・ラジオの経済記者として過ごし、経済番組の制作にも携わる。その後、ラジオ報道部長、宣伝部長を歴任し、「取材する側」と「取材される側」の両方を経験。そのキャリアを活かし、2016年11月に独立し 「情報発信」や「危機管理広報」などに関するセミナーやコンサルを企業や大学・自治体などで行っている。現在「グッドニュース情報発信塾・塾長」。
著書:『関西唯の人 〜仕事を楽しむ人の図鑑』(星湖舎)等

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