会話を通して血の通ったシステムを構築
データを整理して蓄積し、自由自在に検索や加工を行うことができるデータベースソフトの中で、代表的なソフトウェアのひとつである「ファイルメーカー」。
未来Switchの事業は、顧客の抱える課題を会話を通してじっくり探り、ファイルメーカーを用いて解決するシステムを組み上げること。
システムはすべてオリジナルで、大企業から個人まで、相手の事業規模や職種は問わない。「ファイルメーカーには30年ほどの歴史があり、近年はビジネスニーズが増加しています。顧客と一緒に作っていける使いやすいソフトです」。
大学で映像を学んだ片岡氏が、最初に就職したのはゲーム業界だった。億単位・1年スパンで動くビッグプロジェクトは、自身の開発の成果が見えにくい。そこで30歳を目前にシステム会社へ転職し、ファイルメーカーと出会った。
デザイナーやプランナーの手を借りず、一人で構築できてサイクルも早い。また、1対1で顧客と向き合えるため、要望にすばやく応えられるというスタイルもやりがいにつながった。しかし組織的な開発の流れの中で、顧客へのレスポンスが低下してしまうことに懸念を抱くようになる。だんだんとその思いが強くなり、社長に相談し起業することを決めた。
法人化した当初は一人だった。メンバーを雇い入れるための数値計画を立ててみると、現状では売上げが足りないことがわかり、各地で営業活動をして、案件数を増やしていった。「単純に倍の売上げではダメ。1年間の売上計画を立てて、雇用のタイミングを探りました」。
現在、設立3年目。4名のスタッフは、以前から信頼関係のあるファイルメーカーの達人たちだ。「このメンバーが揃えば新しい活動ができる」と考えていた片岡氏。書籍の執筆やセミナーの講師、WEBでの教育サービスも始めて、ファイルメーカー社が主催するイベントでの受賞も。
売上高は計画的に推移しているが、システムの開発は完成まで時間がかかるため、請求の時期が延びて法人口座の残高が5万円になった経験もあるという。「常に現状を共有し、月末には成果が形に見えるものを納品できるように気をつけています」。
パッケージ製品ではなく、一つひとつ組み上げたシステムは「まるで我が子のよう」。血液となるデータが流れて生き続けていくものなので、アフターケアは職務の半分を占める。安定した収入を生む保守契約と、集中を要する開発。バランスを見ながら、「顧客の未来を変えるスイッチになりたい」と話す。
(取材・文/衛藤真奈実 写真/福永浩二)
片岡さんも利用!
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