クオリティ追求を叶えるための起業ストーリー「AtelierCCC株式会社」の感動空間の広め方~現実の課題打破の方法とは
大阪産業創造館 スタートアップ支援チームの【起業プログラム】を実際に利用し起業した“先輩起業家”を紹介する連載コラム。起業を志したキッカケや、困難に直面したとき乗り越えた方法、また事業を軌道に乗せるために必要なことなど。一歩先をいく先輩起業家の体験談を紹介します。
クオリティ追求を叶えるための起業ストーリー
「AtelierCCC株式会社」の感動空間の広め方~現実の課題打破の方法とは
「空間装飾」とは、建築物の内外に、特定のイベントや目的に応じて行われるデザインやアートの要素を含む活動であり、機能的に飾りつけることを指す。AtelierCCC株式会社では、鑑賞者に「空間装飾」を具現化して体験させることで、表現者や開発者の思いを伝え、感動を届けたいという理念で空間創造を手掛けている。
代表の原口氏は以前の仕事でも「空間装飾」に携わっていたが、クリエイターとして、顧客の声に応えるために自らアイデアを出すなど主体的に行動していた。しかし、工場や人員の課題により、顧客のさまざまな要望に応えることが難しい状況に直面した。現状に納得できず、クオリティ向上のために上司に働きかけ、解決策や新たなアイデアも共有していたが、日々の業務に追われて具体化には至らなかった。
そんな中、コロナ禍の影響でイベントが相次いで中止となり、何もできない自分に対する腹立たしさから、「このままではダメだ、こんなときだからこそ世の中のために何かをしたい」と模索していたある日、クライアントとの打ち合わせへ向かう道中にある大阪産業創造館(以下、産創館)に偶然立ち寄った。そこで見つけた起業の伴走支援を行うプログラムの「立志庵」に興味を持ち、「ここに相談すれば、何か糸口が見つかるかもしれない」と考え、産創館の「経営相談室」で起業相談をすることになった。
同業で独立する場合、当然ながら前職と取引先や仕入れ先、ノウハウが重なる。経営相談室での助言をもとに、前職で築いた信頼関係を損なわないよう心掛け、既存のつながりを活かしながらも独自性を打ち出す工夫をするなど、同業者としてのエチケットを守りながら時間をかけ、ブレーンを開拓していった。同時に、前職のスタッフとは友好な関係を保つことができていたので、困ったときは協力を得ることもできるなど、同業でも円滑に個人事業主として起業する道を見つけた。
その後も引き続き産創館へ相談に訪れアドバイスを受けながら、顧客開拓にもチャレンジし販路拡大も実現。経営者としての自信もついてきたころ、事業拡大を踏まえ資金調達に着手した。融資の際に必要な「事業計画書」を作成する際、肌感覚では理解していたものの、実際に様式に落とし込むとなると簡単なものではなかった。
焦りを感じていたとき、そのまま融資の際に使える事業計画書が作成できる「事業計画作成講座」を紹介してもらい、藁をも掴む思いで参加を決めた。講座では、実際に計画書の必要事項を埋めていくなかで、より具体的に事業について考えることが求められ、市場の動向や競合の分析を通じて、自身の事業がどのように成長し継続可能なビジョンが描けるかなどを検討する貴重な機会となった。
講座終了後、事業担当者から、「できるだけ多く融資を受けた方が、運転資金に不安はなくなる」とのアドバイスを受けた。融資額の増額には不安もあったが、今となっては、アドバイス通りに融資を受けて良かったと実感している。安定した運営ができたことで、雇用に力を入れることもでき一年半をかけて社員も定着した今、新たな目標に向かっている。
最後に、「技術はチームで向上していくものと考え、常にクオリティに気にかけている。自分にも相手にも正直に、真正面から向かっていくビジネスに取り組んでいきたい」と強く語ってくれた。
▼「これから起業をめざす方々へ、どのようなアドバイスがありますか?」
経営者という立場は自ら決裁権を持っているので、自分の意に沿って事業を進めることができ、「やりたいことができる」というメリットがあります。
同業種で独立する際、前職と同じ土俵にあがることになるため、ブレーンづくりには時間をかけてでも地道に続けることが大事だと思っています。とにかく最初の2~3か月は苦労を覚悟してください(笑)。
融資を受ける際は、予想以上の出費が発生することもあるため、資金調達に余裕をもっておくことは重要だと思います。
大阪産業創造館では、起業に役立つセミナーやプログラムをご用意しています。
⇒利用した起業プログラム
融資が必要な人のための事業計画作成講座
確実な資金調達を希望している起業前後の方に当講座では、金融機関の協力により、実際に融資審査をする側の視点からの具体的なアドバイスを元に、ビジネスモデルの「具体性」「実現性」「数値計画」をブラッシュアップすることで、希望する金額を調達するために必要な事業計画書の作成をゴールにしたプログラムです。
https://www.sansokan.jp/yuushi/