ビジコンをきっかけに飛躍した起業家にあれこれ質問をぶつけたら、ビジネスのヒントがザクザクこぼれ落ちた件〈株式会社tent tent〉編
【 CASE：3 】株式会社tent tent
株式会社tent tent
代表取締役社長 小西 恵子氏
近年ペットの家族化が進み、愛犬とのおでかけ需要が高まっている。「愛犬との新しい体験はHAPPYになる」と実感していた小西氏は、飼い主が知りたいおでかけ情報のWebメディア「おでかけわんこ部」を2019年に立ち上げた。全国の飼い主からの情報を記事化し月間100万PVに成長。広告収入も増え、企業との取引に対応するため2020年に法人化した。また、ペット同伴受け入れを検討する事業者に向けた企画コンサルティングを開始。2023年には「おでわんMAP」をリリースし、事業者向けには「DOGOKシール」、飼い主向けには「マナーを守ろうキーホルダー」の無料提供を行う。大阪産業創造館が主催する「ビジコンOSAKA2022」では「Venture大賞」を受賞。その原動力は「ペットと共にある、それが当たり前の社会に」という想いだ。実現のためには「飼い主のマナーやしつけのアップデートも必要」とマナーについても発信し、今後はリアルイベントも開催予定。11月から神戸観光局との取り組み「ペットと旅するKOBE」がスタート。今後は自治体などとペットフレンドリーなエリアの創出にも力を入れていく。
Q：創業したきっかけは？
愛犬とのおでかけ情報で「ワクワク」したい！
銀行勤務を経てWeb 制作会社でECサイトの運営サポートを行っていたのですが、プライベートで心が疲れてふさぎ込んだ時期があり、在宅で仕事を続けるのが精一杯に。心配する家族の勧めでお迎えした愛犬“きなこ”との出会いで復活できたものの、もっと愛犬と出かけたいのに実際はおでかけ情報が少ない。そんな中、「Instagram に点在する情報をつなぎ合わせたら便利になるかも！そんなメディアをつくりたい」と思ったことがきっかけです。
Q：自分が育った環境に経営者（起業家）はいる？
いつの間にか父が経営者に
私の父は車のステアリング会社に勤務していたのですが、社長に就任し経営者に。私が子どもの頃は海外出張で父はほとんど家にいなかったので、今が一番よく話すようになったかも。2～3ヵ月に1回、取締役と一緒に現状と今後の展望をまとめたものを父に聞いてもらい、経営者の視点でアドバイスをもらっています。リスク管理のことなど鋭い指摘にドキッとすることも。
Q：日常生活における習慣やジンクスは？
休日のわんことのおでかけ
休みの前は、「おでわんMAP」を使って愛犬“きなこ”とのおでかけ先を検索しています。どこに行こうかユーザー目線で探していると「あ、ここちょっとわかりにくいな」と気になる改善点が見つかることがちょこちょこあって。ユーザーが快適におでかけ情報を検索できるようアップデートにつなげています！
Q：アイデアを生み出す秘訣は？
スタッフと課題や目標を共有すること
スタッフとは定期的にオンラインミーティングを実施しています。私ひとりで考え込んでもアイデアは限られていますが、想いを共有するスタッフにはライター、会社員、エンジニアの方もいて、今の課題や今後どうしたいか伝えると、さまざまな角度からアイデアを出してくれます。カンパ制度のシステムやDOG OKシールとサイトとの連動の推進もスタッフからのアイデアです。
Q：起業家人生最大のピンチは？
仕事が回らない
私の業務量が膨大になり、スタッフの増加や今後の展開を考えて運転資金の借り入れをするかどうか迷った時！借金するとなるとどうしても不安で。でも、ビジコンに推薦していただいたことや、「毎月きちんと返していけば大丈夫」という取締役の言葉に救われました。借り入れしてスタッフも増加してよかったです。今もまた、私がボトルネックとなってきたので、業務フローを見直しこれからスタッフに権限を渡していく予定です。
Q：ビジコンに参加してぶっちゃけどう？
事業の価値に自信が持てた
運転資金の借入をするかどうか経営相談に訪れた際にビジコンをご提案いただいて。ちょうど今後の方向性について考えていた時期だったので「社会を変える事業だから、もっと世の中に広げませんか」と推薦していただけたことは、自信につながりました。人前で話すことは苦手でしたが、準備期間にビジコン経験者や先輩の経営者などいろいろな方にアドバイスをいただき、ビジョンがより明確になりました。
Q：ビジコンに受賞するコツは？
全部伝えなくていい、おもしろそうと思ってもらうこと
これはもらったアドバイスのひとつで、私の気持ちが楽になった言葉です。「全部伝えようとしても興味がない人にとっては話がわからなくなる」と教えてもらえて。私の場合はペットに興味がある人とない人にわかれるので「社会のためになりそう」「すごそう」「広がっていきそう」と感じてもらえるよう工夫しました。ペットを飼っていない人がどう思われるのかという視点も、意識するようになったきっかけになりました。
Q：いい仲間を見つけるには？
かっこつけずに何でも話す
起業時からコワーキングスペースを利用しているのですが、そこの飲み会で思っていることを何でも話していたら、おもしろがってくれたのが当社の取締役です。「一緒に会社をやろう」と心強いパートナーになってくれました。また、サイト内で何度かサポート部員を募ったところ、私たちの想いに共感してくれた方にご応募いただけましたね。
（取材・文／三枝ゆり 写真／福永浩二）
