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ビジコンをきっかけに飛躍した起業家にあれこれ質問をぶつけたら、ビジネスのヒントがザクザクこぼれ落ちた件〈株式会社トワール〉編

2023.12.07

【 CASE:5 】株式会社トワール

株式会社トワール
代表取締役/CEO 濵野 裕希氏

授業や模試など学習過程において取得されるビッグデータや生徒の指向性、性質などをAIによって解析。それらのデータから、今後の成績や対人関係の特性を予測するシステムを構築した株式会社トワール。塾や高校、予備校で生徒の指導にあたってきた濵野氏が「どの先生に出会うかによって生徒の未来が決まってしまう」ことに違和感を持ち、2012年に起業した。『直感による教育を、科学による教育へ』をスローガンに事業を展開。現場で指導する教員の負担を軽減し、生徒は自分に合った方法と環境で学習できる。すでに塾や大学、小学校で活用されており、スポーツチームへの導入も進められている。学びのあらゆるシーンで、属人的なノウハウによるばらつきを低減し、再現性の向上を追求していく。

Q:創業したきっかけは?
人生を賭けた大勝負が運次第ってどうよ!?
学生時代に塾講師のバイトをしていて、受験の合否で人生が変わる子どもたちを何人も見てきました。そこで語られるのが「先生の当たり外れ」。生徒によって得意なジャンルや勉強の進め方、性格的な特徴が違うのに、指導方法は先生の経験と勘だけが頼り。人生を左右する受験が運次第なのはおかしい!その思いが起業につながりました。

 
Q:自分が育った環境に経営者(起業家)はいる?
経営者と政治家もいます
母方の祖父が営むタイル店を父が継いでいましたが、中学生の頃から「世の中を変えることがしたい」と考えるようになり、「政治家になろう!」と。ある時、父方の親戚に政治家がいるので会いに行ったんです。「世の中を変えたいのなら、まずはお金を集めること。お金がないと、しがらみだらけで世の中を変えるところまで辿りつけない」と、超・現実的なアドバイスをもらって。政治家より起業家だ!と路線を変更しました。

 
Q:少年時代はどんな子ども?
自由時間はほぼゲーム(笑)
幼少の頃からゲームが大好きでした。設定が意味不明なゲームほど惹かれます。「え?どういうこと?」と思いながら、最後まで分からないままってことも(笑)。でも、分からないことを分かろうとするプロセスが楽しいんですよね。暇さえあればゲームをし、勉強は直前追い込みタイプでした。雑音がないと集中できないから「ながら勉強」ばかり。「オレだって計画的にやれるもんならやりたい!」といつも思っていました(笑)。

 
Q:起業家人生最大のピンチは?
正直、創業から毎年がピンチ
スタートアップって基本的に赤字です。これまで何度もピンチがありました。ベンチャーキャピタルを探す際、10社くらいで出会えると思っていたら挫けてしまうけど、最初から100社は回るつもりでいれば余裕でがんばれる。いろんな人の体験談を聞きながら、確率を正確に見積もることが大事です。自分の中での期待値を上げ過ぎることなく行動することで乗り切ってきました。

 
Q:アイデアを生み出す秘訣は?
とりあえず試してみる
人から誘われたら、予定が合う限り必ず行きます。新しい何かに出会える機会を自分からどんどん取りに行く。コンビニでも回転寿司でもなんでもいいんですが、新商品や新メニューを見かけたら、どんなものであれ必ず試しますね。「よくこんなもの商品化したな!」な商品に出会えると最高です。「絶対に世に出すぞ」っていう企業や開発者のチャレンジ精神を感じます。自分に新しい刺激を与え続けることは常に意識していますね!

 
Q:ビジコンに参加してぶっちゃけどう?
そもそも優勝を狙いにいってません!
学生時代に塾講師になり、そのまま学校という世界で仕事をしてきました。ビジコンやスタートアップのプロジェクトに数多く参加したことで、ビジネス経験の少なさを補うことができました。優勝を狙いにいくというよりは、プロセスで得るものがとても多いんです。発信の経験を積みながらたくさんの協力者に出会うことができ、優勝以上の価値がありましたね。

 
Q:共感を得るために工夫すべきことは?
「お前、5年前から同じこと言うてるなぁ」が大事
サービス自体がまだ新しいため、課題解決のイメージを具体的に持ってもらえない限り共感を得ることは難しい。人々の中にある「悩み」「課題」「不安」を言語化し、ブレなく伝え続けることを大切にしてきました。「5年前から言っていることが変わってない」と言われることは、私にとっては褒め言葉。叶えたい世界観がブレてしまったら、やはり伝わらないと思います。

 
Q:一緒に仕事がしたい人と出会うには?
やっぱり最後は「飲みニケーション(笑)」
自分のビジネスを伝えるために、将来性や採算などを論理的に説明することはもちろん大事!だけど最後は人と人。一人になってもやり抜く覚悟があるのかを見られている気がしますね。古い言い方かもしれませんが、やっぱり飲みニケーションは強い!その人の本音というか、人となりは日付が変わらないと見えてこない(笑)。二日酔いになることだけが悩みの種です……。

(取材・文/北浦あかね 写真/福永浩二)

株式会社トワール

代表取締役/CEO

濵野 裕希氏

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