《講演録》お客様も社員もワクワクさせる経営術~UDS流・付加価値を生む“組織の企画力”の育て方【後編】
《講演録》2018年5月10日(木)開催
【トークライブ!】お客様も社員もワクワクさせる経営術
~UDS流・付加価値を生む“組織の企画力”の育て方
話し手:中川 敬文氏(UDS株式会社 代表取締役社長)
聞き手:山崎 大祐氏(株式会社マザーハウス 取締役副社長)
キッザニア東京、レゴジャパンなど有名企業やコンテンツとのパートナーシップから、特徴あるホテルやシェアオフィスの立ち上げ、運営まで…。際立つ企画とプロデュース力で社会に新しいワクワクを提供し続けるUDS株式会社の中川敬文社長を迎え、第一部では中川氏の人生に、二部では経営に迫るトークライブが行われた。
>>>第一部はこちら
◆第二部 「ワクワクさせる」会社の作り方
~UDSの独自性あるマネジメントのあり方やマーケティングの考え方などに迫る~
>>> 成功する企画は、当事者意識があり、かっこよくて、儲かって、意義がある
――どうやってワクワクさせる企画を生み出しているのですか。
企画するときに必ず考えることは3つ。かっこよくて、儲かって、意義のあるものか、ということです。社員から提案された企画もこの3つに照らし合わせて判断しています。また、アイデアをどう重ね合わせるかということも重視しています。本屋×コワーキングスペース、といった具合に。
ただ、重ね合わせるとよくわからなくなることもあるので「一言で言える」ということも大切です。お客様にとっての価値は何か、何が新しいのか、ということを一言で表現できるような企画でなければいけないと思っています。例えば「キッザニア」なら一言で言うと「エデュテイメント」。楽しみながら学べる、というところが核です。
特にスタート時期にはそういった企画の「哲学」が必要だと感じています。さらに、未来を織り込むということも必ず念頭に置くようにしています。今だけでなく、5年後、10年後どうなるか、ということを考える思考です。
――社員全員がそういった企画に対する考え方の共通のフォーマットを持っているということですか。
実は今までは、梶原や私の暗黙知で成り立っていた部分がありました。そこで、我々の経験則や成功体験を慶應SFC教授の井庭崇先生のご協力のもと、言語化し本にまとめました。マニュアル化しすぎず、行動を起こすには考えなければいけないレベルでコツをまとめたという形です。外部の方に入っていただいたので客観性も持たせられてよかったと思っています。
――そういう本を読んだり、その通りにやったりしても、うまくいかない人が多い気もしますが。
当事者意識が大切ですね。自分が金出して買うものじゃないとつくらない、ということです。また、企画だけでなく運営もできるか、まで考えて行動するのは大切だと思います。うちは、運営までやっているというところが大きいと思っています。
また、運営する人がお客様との対話の中で生まれていくものの方が本当のアイデアだと思うので、完璧につくりこむことはしません。建築のデザイン段階でも余白を残しておこうと心がけています。
>>> ザワザワの横にワクワクがある。リスクのないワクワクはありえない
――ワクワクさせる組織をつくるために必要なことはなんでしょうか。
まずは、上の人間がリスクを取り続けていくことですね。リスクのないワクワクは絶対にありえないです。そのために、リーダーが攻め続けるんです。うちは、梶原と私、どちらも全速力で疾走しています。社員が追いつきたい、追い越したいと思えるリーダーでありたいと思っています。
また、常に「初物」を心がけるようにしています。世界初、日本初を目指して、それがダメでも会社にとって、もしくは担当者にとって初めて…など。常に「初物」とリスクを介在させるんです。初めてだし、リスクもあるし、ザワザワしますよね。でも、ザワザワの横にワクワクがあるんです。
うちの会社でしかできないプロジェクトをつくることは、優秀な人材の流出を防ぐためにも重要です。社員には建築関係者や料理人が多いのですが、その世界では、力がある人ほど独立することが多い。そんな人達も残りたくなるようなワクワクするプロジェクトが必要なのです。
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