《講演録》小さなエビ工場の奇跡

《講演録》2018年3月5日(月)開催
【トークライブ!】小さなエビ工場の奇跡
株式会社パプアニューギニア海産 工場長
武藤 北斗氏

『働き方改革』の推進が提唱される中、パート従業員が「好きな日に出勤し、好きな時間だけ働く」という大胆なフリースケジュール制度を取り入れたことで、大幅な業務効率アップや経費削減を実現した株式会社パプアニューギニア海産が大きな注目を集めている。今回は、同社の経営者であり、工場長の武藤北斗氏が、「なぜフリースケジュール制度を導入するに至ったのか?」「導入後どうなったのか?」などを本音で語った。

≫こだわりや理念を大切に。しかし、理念をパート従業員に押し付けてはいけない。

まずは「パプアニューギニア産の天然エビだけを、30年間輸入・加工・販売し続けている」ことへの想いを伝えさせてください。

天然エビは、漁をして船上ですぐに凍らせる“船凍”と、陸に持ち帰ってから凍らせる“陸凍”があります。パプアニューギニア産のものは、新鮮な“船凍”であり、薬品なども一切使っていません。創業当初は築地などの市場にしか販売していませんでした。しかし、養殖エビが出てきたことで、天然エビの値段も下落。現地の利益なども考慮すると、「市場だけでは難しい」と、直接飲食店などに販売する路線へと変更しました。

私たちのこだわりは、「自分の家族や友人と一緒に食べたいと思えるような、良質で美味しい食品を提供する」ということ。だから、加工に使うパン粉や水にもこだわっています。また、海の恩恵を受けている会社なので“海を汚してはいけない”と考え、掃除の際にも合成洗剤は使いません。毎日、無添加石けんで丁寧に掃除をすることでクリーンさを保っています。取材に来てくれるメディアの方が驚かれるほどです。

──こうした理念を持っている会社ですが、大切なことは「それを従業員に押し付けないこと」です。理念や想いは会社が持っておくべきものであって、それを従業員が自分から感じ取ってもらうことが重要だと考えています。

≫実はもともと、ガチガチの管理主義者。しかし、縛ることは実は非効率だった。

私はもともと、「工場は徹底して管理して縛ることが、効率を追求できる。だから、従業員も縛って管理することで、運営できる」と考えていたのです。

その価値観が一変したのが、東日本大震災の被害を乗り越え、関西の新天地で一緒に頑張ってきてくれた従業員の「辞めたい」の言葉でした。東北の人は地域に対する親和性が高く、“地域にずっといたい”という考え方が強い土地柄。そんな中で、わざわざ付いてきてくれた従業員が「辞めたい」と切り出すというのは、よっぽどの事態が起こっているのだということに気がついたのです。

そこで「従業員に、好きになってもらえる会社組織にする。もしそれで会社が潰れたら、仕方がない」と決断をしました。相当な覚悟を持って決めたのですが、1ヶ月程度で多方面でプラスになることを実感。自由に働いてもらうことが、効率化につながったのです。

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2018年04月02日
株式会社パプアニューギニア海産
工場長  
武藤 北斗氏
事業内容/天然エビの加工・販売

今月の町工場で働くオトコマエ

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