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子どもたちの姿がモチベーションUPへ

2018.04.03

教科書や問題集、児童書などを出版する新興出版社啓林館では、寺田町にある大阪本社2階の多目的ルームで、毎月2回、小学生を対象にした「わくわく学習教室」を無料で開催している。大学教授や退職後の教員を講師として招き、通常の学習塾では教えていない“算数のおもしろさ”や“理科の有用性”について、子どもたちがわくわくしながら学ぶことができる。

例えば、テーマは「算数マジックショー」や「光の不思議」など小学生が興味を持ちそうな身近なものが中心。授業が終わっても子どもたちが先生のまわりに集まって質問することも多く、保護者からも好評だ。

月2回、低学年の部と高学年の部を開催。開催回数は2018年2月末時点で113回を超え、のべ1600人の小学生が学んでいる。また、夏休みには理科工作を体験できる「わくわく学習教室夏まつり」を実施し、社員が各ブースで子どもたちに万華鏡やコマなどの作り方を教えている。

地域に開かれた会社をめざし、多目的ルームの設置を計画していたころ、大阪出身の山中伸弥氏がノーベル賞を受賞した。「この地域からノーベル賞の受賞者が現れたら」とわくわく学習教室の開設に乗り出した。

しかし、すべてが手探り状態。まずは社員の子どもを集めて試行し、備品も講師のアドバイスを受けてひとつずつ集めていった。生徒集めも苦労したが、自治体の協力を得て地域の子どもたちが参加したことから口コミで広まり、2013年のスタート以来、会員総数は200名を超えた。

「わくわく学習教室」を通じて、子どもや保護者の目線に立った教科書づくりの重要性を再認識している。

運営は月ごとに担当者を決め、テーマに合わせて講師の依頼、内容の打ち合わせ、授業のサポートまで行う。日々の業務に加え、大変な面もあるが「子どもたちが楽しそうに授業を受けている姿を見ると大きなやりがいになる。視野も広がり、普段の仕事にも説得力が増した」という。

2020年から小学校で英語が教科化されることを受け、英語教室も開催。さらに、東大阪市や西宮市のエリアを担当している社員が「自分の担当エリアにも広めたい」と各自治体の協力を得て、出張わくわく学習教室も始まった。

運営を担当するメンバー。担当しているエリアの学校や先生についてお互いに紹介するなど情報交換も活発になった。

また、新しい切り口として「大阪の子どもは大阪の企業で育てよう」という観点で、近隣企業に出前授業を依頼し、「こんなところにも科学が」という視点で、学校で学んでいる理科が実生活にどう役立っているかを伝えている。

そして、その拡大版となる食と科学に関するイベントを企業と連携し、9月に開催する予定だ。「子どもたちにもっと算数・理科を好きになってもらい、大阪にある食の企業を知ってもらいたい」と一丸となって取り組んでいる。「わくわく学習教室」が始まって5年。社員のモチベーションUPにつながり、地域に貢献できる新たな事業として発展している。

第三教育推進部 部長 柏本 光氏


(取材・文/三枝ゆり)

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↓↓↓今回取材した5社の取組みはコチラから↓↓↓(順次公開)
https://bplatz.sansokan.jp/archives/category/eeyan

株式会社新興出版社啓林館

第三教育推進部 部長

柏本 光氏

https://www.shinko-keirin.co.jp

事業内容/教科書、教材の出版・販売