ものづくり

感性に響く「貼箱」で、ブランド価値を伝える

2017.06.26

トータルブランディングで売上げが数億円UPしたソフトウェアのパッケージ

厚さ約1.5mmのボール紙で組み立てられた箱に、紙・布・特殊クロスなどを貼っていく「貼箱」の作業工程はすべて手作業。

接着剤として使われる天然素材の膠(にかわ)は、箱の形状や素材、厚みなどに合わせてブレンドする。膠は速乾性があり、10〜20秒間で貼る必要があるため、季節ごとの室温や使用量の調整は職人技だ。接着しにくい時は布越しにアイロンをあてて接着をゆるめ、箱の角を立てる作業など、上質な貼箱をつくるための手間ひまは惜しまない。

貼箱作業工程の一例(部分)

創業から40年のノウハウを蓄積する村上紙器では、パッケージの企画・デザインから製造まで、一貫した提案を行う。大きさや形状はもちろん、素材や色を選んでオリジナリティを発揮できるのが貼箱の醍醐味。

貼箱の用途は幅広く、さまざまな業界から案件が飛び込んでくるが、手加工にこだわり、素材の風合いを活かした特殊技術があるため、高い要求にも応えることが可能だ。

野波浩ポートフォリオ1989-2007のパッケージ

「パッケージは単なる入れ物ではなく、つくり手の想いを包むものなんです」と話す村上氏。貼箱は商品を引き立てるだけでなく、その商品を製造・販売する企業のブランド力を高めることができると考える。めざすは、「美しい普通」。派手さはなくとも、10年、20年経って朽ちない美しさを追求している。

ウエディングアルバムのパッケージ。和紙作家とのコラボ作品。

今後も、クリエイターとの協働や、表面の要素であるColor(色)、Material(素材)、Finish(仕上げ)を意識した「CMF®デザイン」を取り入れるなど、学びの姿勢をもち続ける村上氏。商品企画の段階から参加してブランディングに関わり、感性に響く貼箱を生み出すことをめざしている。

少数精鋭で「貼箱(モノ)を通して価値(コト)を売ること」に、これからもこだわっていく。

代表 村上 誠氏

(取材・文/花谷知子)

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パッケージ製作において、保冷、対油、殺菌など、特徴ある素材を持つ企業や、抜型、設計、偽造防止印刷など特殊な技術を持つ企業、企画から制作まで一貫して製作可能な企業が出展する展示商談会を開催。