足元から街を美しくする“次世代型溝ぶた”
日頃私たちが何気なく目にしている道の脇にある「溝ぶた」。その多くは金属の格子状になっている。これは、人や車輪などが溝に転落することを防止すための「ふた」の機能と、雨水などを溝に流す「排水」の機能を両立するために考案された形状だ。
しかしこの形状であるがゆえに、格子にヒールや車椅子の車輪が入り込んでしまって転倒するという、安全上の課題をはらんでいる。雨水だけでなく落ち葉なども溝に入り込むため、溝が詰まってあふれる原因になったり、害虫の発生源になるという問題もある。
これらの課題を解決するのが、ダイドレ株式会社が開発したステンレス製透水化粧ふた「Tosk Remake Cover(以下Tosk)」だ。
Toskは、ステンレス製フレームに細かな石を詰め固めて作ったふた。石は「繊維化合成樹脂バインダー」という特殊な接着剤で固められており、十分な強度を持つことはもちろん、石同士の間に隙間を保ったまま接着される。そのため、一見すると板状でありながらも透水性を備えており、格子状と同じように雨水を溝へ流すことができるのだ。
「溝を完全に覆うことができるので、ハイヒールや車椅子、落ち葉や害虫が入り込むといった問題をすべて解決することができます。さらに、使用する金属量を削減できる、金属の加工コストや設置現場での工事コストを抑えられるなど、価格面でも従来型のふたを上回ることができました」。
ダイドレは、マンホールや排水管のジョイントなど、排水器具の製造販売で70年近い歴史を持つ会社。販売網は全国に広がっている。
そんな同社が、Toskのコア技術でもあるバインダーの技術と出会ったのは2018年の夏。技術の優位性や市場性の検討を経て本格的な技術開発に乗り出し、2019年春に販売開始に至った。
従来型の溝ぶたは「グレーチング」と呼ばれることが多い。しかし同社ではあえてグレーチングとは名乗らず、Toskという新たな名称で売り出している。
そこには、従来型の商品とは性能はもちろんのこと、用途までもが一線を画する新たなカテゴリーの商品として育てたいという思いがある。
「Toskの“キモ”の1つは透水技術です。水を染み込ませる技術は、水たまりのできない道路や水によって滑りにくい歩道に応用できます。また、接着する石が2層構造になっており、上層は25種の天然石から選ぶことができます。溝ぶたにとどまらず、排水性能を備え、なおかつ景観に配慮した“足元”を実現できるのがToskなのです」。
日頃私たちが何気なく目にしている溝ぶた。それがToskに置き換わっていったら……。街はもっと安全で、美しいものになるだろう。
それが、「足元から街を美しく」という同社の描く明日の社会だ。
(取材・文/松本守永)
https://www.osaka-toprunner.jp/
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