株式会社アースクリエイト(大阪市中央区)は、樹脂に炭酸カルシウムを50%以上混ぜた「ストーンシート」という新素材を開発し、商品化して販売している。環境保護と経済性を両立させた画期的な新素材として注目を集めている。
西宮祥行代表取締役は以前、繊維関係の会社に勤めており、ストーンシートに使われる樹脂や製造に関しては「全くの素人」だった。
しかし、独自の人脈を駆使。「分からないことは、その道の日本を代表する専門家を呼ぶ」という方針に徹し、事業を推し進めてきた。
開発したストーンシートの魅力は、素材としての高い可能性にある。
主原料となる樹脂に炭酸カルシウムを50%以上配合しているため、燃やしても二酸化炭素の発生量が少なく、ダイオキシンも発生しない。
さらに、一般廃棄物として処理できる特性もある。容器・包装材に加工した場合も、容器包装リサイクル法の適用除外となり、環境保護と経済性を両立させた。
この素材の特性を引き出すには課題もあった。
微粉末にした炭酸カルシウム粒子を混ぜて超極薄のシートを均一に製造する技術は当初、どこにもなかった。それを、高分子工学の第一人者、宇山浩・大阪大教授を顧問に迎え、実現に成功した。
環境部門の表彰で権威のある「LCA日本フォーラム」の奨励賞を受賞。環境にやさしく、低コストを実現させたストーンシートの価値や将来性が高く評価された。
この素材を使い、大手百貨店向けの保冷包装紙を商品化し、納品している。ほかにも、手提げ袋や農業用シート、ボトル容器など、開発依頼が次々寄せられて、発注額が100億円規模に達することもあるという。
こうした需要に応えるには、膨大な資金力と安定供給体制が必要になる。
金融機関などを納得させるため詳細な事業計画書を作成し、資金を確保。安定供給体制についても、持ち前の行動力と人脈をいかし、着々と整えている。
(大阪産業創造館 プランナー 中根巳貴男)
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