ポジティブ思考のデザイン会社
プロダクトデザインから、設計・製造までを手掛ける商品開発専門のデザイン会社として、多くの企業から頼りにされているのが、ハニカムエンジニアリング（大阪市中央区）だ。
2008年に代表取締役である戸嶋良洋氏が数人の仲間と創業。デザイナー・設計者のみの専門家集団として事業を開始した。創業以来、順調に事業を拡大するパワーの源は、社員全員がものづくりを楽しむ「ポジティブクリエーション」にある。デザインから携わった製品が実物として完成する、その喜びを追及する姿勢が、結果的に顧客の製品価値の向上につながっているという。
ポジティブな考えは、経営戦略にも反映されている。顧客からの依頼とあれば、試作や量産など新しい分野にも喜んでチャレンジしてきた。
今、ものづくりの業界では、設計者やデザイン力が不足している上に、製品開発の期間が短くなり、さまざまな企業に発注をする方法では、コストもスピードも合わなくなっている。同社の戦略は、デザイン・設計から、試作・量産まで一気通貫で請けることができるため、大手メーカーからの依頼が途切れることがない。
また、戸嶋氏が大切にしているのが、ものづくりを実現するパートナー企業の存在である。自社では設備を持たないファブレスメーカーである同社の製品をつくるのは、得意分野が違う100社以上のパートナー企業だ。品質と納期を維持しつつ、無理も聞いてもらえる協力関係を構築する努力を続けている。
また、デザイン・設計を強みとする同社にとって人材育成は何より重要だ。スキルの向上には時間がかかるため、長く働ける快適な社内環境・設備とともに、事務所の居心地や雰囲気を大切にし、新規採用時にも自社のカラーに合うか、フィーリングを一番のポイントにするという徹底ぶりである。
社員全員の目標は、5年以内に自社ブランドを立ち上げること。顧客の要望に全力で応えてきた同社が、自らの商品開発に取り組むと、どのような製品が生まれるのか、これからの試みが楽しみである。
（大阪産業創造館 プランナー 多賀谷元）
▲デザイナー・設計担当者とミーティングをする戸嶋氏（左端）
株式会社ハニカムエンジニアリング
