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【ロングインタビュー】「過去を見て、先を見て、今を見る」 老舗メーカーだからできる挑戦を

新林堂社長

駅の土産物店で粟おこしを売ってきた老舗メーカーがいまやネットショップでダイエットスイーツを売り、名をはせている。創業135年で培ったブランドをどのように守りながら新たな分野に挑んだのだろうか。

―粟おこしの老舗メーカーがなぜダイエットスイーツを。

当社は明治13年から粟おこしをつくっており、私で5代目になります。父の代までは粟おこし以外はいっさい手を出しませんでした。母は洋菓子のお土産もつくりたがっていたようですが、続いているとそれ以外のことはなかなかできないものです。

僕は学生のころから、お土産菓子のマーケットは近い将来絶対あかんようになると思っていました。お土産というのは、時間をかけてわざわざ行くから買うわけですが、新幹線が通ってどんどん時間距離が縮まるようになれば、お土産そのものが買われなくなるのではと考えていたのです。実際、大阪の粟おこしメーカーはピーク時に130軒ほどあったのですが、現在残っているのは5、6社ほどです。

ですから5代目を継いでからというもの、粟おこし以外になにか新しいものを、といろいろ試作を繰り返していました。おいしいお菓子で勝負しようとしても、有名どころからいっぱい出されていますからとてもかないません。そこで、健康、ダイエットというニッチなところに目をつけたのです。

―ダイエット菓子の分野も競合はすでにたくさんあったのでは。

あるときサプリメントメーカーからおからのクッキーを出してほしいという依頼がありました。そこで、すでに出回っていた競合商品を食べてみたのですが、どれも決しておいしいとはいえるものではありませんでした。「ダイエット」「健康」を意識した商品であれば、おいしくないのは仕方ないということで消費者の皆さんも受け入れていたのだと思います。それなら神林堂は、おいしさにこだわってダイエットスイーツをつくろう、と考えたのです。

―新しいことを始めるのには社員からの抵抗はなかった?

当時の工場長は先々代のときから働いている方でしたので、粟おこし以外のものをつくることをすごくいやがりました。裏返すと怖かったんだと思います。やっぱり、長く続けているとそれしかようせえへんようになりますから。

それなら自分でつくったろやないか、と。自分で試作をしてある程度かたちになった段階で、職人さんに、「ほら、素人のぼくでもできるんやから、職人さんやったらできるやろ」と言って任せていきました(笑)。商品化してしばらくして、職人さんもときどき失敗することがあったんですが、すぐに「素人ですから」と言い訳をするので、「いや1円でも売れたらプロなんやから、プロという意識を持ってつくってください」と言いました。そうやって、新しいことに挑む風土をつくっていきました。

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2015年04月09日
株式会社神林堂
代表取締役  
岸本 憲明氏

事業内容/1880(明治13)年創業。粟おこし及び健康・ダイエット関連菓子の製造・販売。

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