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香り印刷事業を開拓するインキメーカー

インターネットやスマートフォンなどの普及は、印刷物のデジタル化を劇的に進めてきた。その影響で「紙離れ」が急速に進行し、印刷業界は厳しい状況に置かれている。そんな中、久保井インキ株式会社(大阪市東成区)は、かつての主力事業であった枚葉オフセットインキからの撤退を決断し、高付加価値インキの製造にシフトチェンジした。温度変化や光の照射により色が変わったり、水やアルコールに溶けたりする特殊インキの技術開発に注力し、収益は大きく改善したという。

特殊インキの中でも特に力を入れるのが「香り印刷」事業だ。特殊なカプセルを配合した香料インキで印刷することで、チラシやダイレクトメール、カタログなどに香りをつけることができる。見る人の嗅覚にも訴え、商品やサービスを一層印象深くPRできるのが特徴だ。

ラベンダー、バニラといった人気の香りを取りそろえているうえ、香りの調合にも対応している。同社は今年7月、ウェブサイト「香り印刷ドットコム」を開設し、香り印刷の窓口業務をスタートさせた。通信教育の教材や化粧品通信販売のダイレクトメール(DM)などでの注文が伸びており、デジタル化社会の今だからこそ他社との差別化に効果を発揮している。

社長の久保井伸輔氏は3年前、38歳で父の後を継いだ若き経営者だ。日常的に業界外の人脈を開拓し、先輩経営者の成功談や失敗談に耳を傾けているという。また、同じ世代の経営者との情報交換にも積極的だ。こうして磨いた経営者としての感性が、新規事業を考案し推進する原動力となっている。

近年はアロマや香り付き日用品の需要が高まっており、香り印刷も今後の市場拡大が期待される。同社は現在、新しいマーケットを開拓するための模索を続けている。これまでの主な取引先である印刷会社にとどまらず、より消費者に近いメーカーやサービス業を対象に、香り印刷を知ってもらうための活動を進めている。「他社と同じことは絶対にしたくない」と意気込むインキメーカーの挑戦に期待したい。

(大阪産業創造館 プランナー 住友綾子)

sankeikansai140929▲「香り印刷ドットコム」で注文した印刷物からは、バニラや和の香りが広がる

2014年09月29日
久保井インキ株式会社
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