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【アサヒ・ドリーム・クリエイト長編】「成長する機会」を社員に与え、「考える組織」へ転換

先代の父から会社を引き継ぎ、「社員の成長」をキーワードに組織改革に力を入れてきた橋本氏。当時は「まるで軍隊のようだった」というほど、トップの指示を受けて現場が動く典型的なトップダウン経営だった。経営理念を掲げ、「考える組織」への転換をめざすなか、どのような課題があったのか。改革の変遷をたどり、時代に合った組織づくりの勘所を聞いた。

>>>組織改革に力を入れるようになった経緯をお聞かせください。

1996年に家業である朝日化工紙(当時)に入社したとき、資金繰りは火の車で想像を絶するような経営状態だったんです。金融機関からの融資を受けて新工場を建設後、バブル経済がはじけて仕事は減る一方でした。借金を返さないといけないので、とにかく売上げを伸ばさないといけません。ですが当時は営業マンはおらず、来た仕事を請けるだけの完全な下請け企業だったので、外部環境の悪化に伴って売上げはどんどん減少するばかりでした。

私は前職のリクルートで営業をやっていたので、率先して新規顧客の開拓に奔走しました。同時に、当時は印刷物の表面加工が中心でしたが、技術の強みを活かして販売促進用のPOP・ディスプレイの製造・加工に事業転換を模索。他社との差別化が出来、付加価値の高い仕事への転換を目指したんです。

入社してからの10年弱は先代の父親と力を合わせて、事業構造の転換と財務基盤の強化に必死になって取り組みました。そして一定のめどがついた2004年、父から会社を引き継ぎました。

社長就任以降、「社員の成長」をキーワードとした組織改革に力を入れてきました。当時は悪くいえば軍隊のような組織で、先代の指示を受けて現場が動く典型的なトップダウン経営だったんです。私語は厳禁で、1分も無駄にせず働け、そんな状況です。社内の雰囲気は悪く、そうした環境で長年仕事を続けてきた社員は黙々と働く人ばかりでしたが、一方では指示がなければ何もできない組織でもありました。

経済が右肩上がりで仕事がいくらでもある時代は、理想的だったかもしれませんが、市場が縮小し、放っておくと仕事が減っていくこの時代は現場に権限を委譲し、社員一人ひとりが考え行動できる組織に変革しなければ生き残っていけないと考えたからです。

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>>>具体的に何から始めたのでしょうか。

社長就任後、組織改革の旗印としてつくったのが「エンジョイ・カンパニー」という経営理念。お客様に感動してもらい、それを通じて社員が成長し、その結果として会社の業績が上がる「ハッピートライアングル」をつくりあげようと。

社員はみんな丁寧に仕事をしていたのでお客様に満足はいただいていましたが、一方で来た仕事を淡々とこなすだけだったので、社員の成長が伴っていませんでした。現場が意思決定できる組織をつくるためには、何より社員の成長が不可欠です。だから全社で共有できる理念を掲げて、お客様・社員・会社のハッピートライアングルが正三角形のまま、拡大していくことをめざしたのです。

 

>>>経営の方向転換で社員からの反発はなかったですか?

幸い強い反発はありませんでした。ですが、「エンジョイ・カンパニー」を掲げても、誰にも理解してもらえませんでした。先代の経営に慣れ親しんだ人たちばかりだったので、「何がエンジョイや」という感じですね(笑)。当時は会議もなく、経営の戦略戦術もなく、社員が目標を持ったことすらない状態ですから。

さらに問題がありました。私が社長になって新しい経営に変わったわけですが、会長に退いた父も毎日出社して現場に指示を出していました。最初の3年間はツートップが指揮するという、いわばダブルスタンダードのような状態が続いたんです。

これではあかんと真剣に思ったのは、ある社員から言われたひと言です。私が社長になって初めて雇った社員から、「この会社に希望はない。だから辞めさせてください」と言われたんです。新社長は夢のあることばかり言うけれど、会長はトップダウン経営。現実が伴っていない、と。

そのひと言を聞いた私は意を決し、父に「そろそろ経営を任せてほしい。明日から会社に来ないでほしい」と思いきって伝えました。それを聞いた父は心中、穏やかではなかったはずですが、私の思いを理解してくれ、次の日から顔を出さずに見守ってくれるようになりました。そこからですね、組織改革が本格的にスタートしたのは。
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2014年06月09日
アサヒ・ドリーム・クリエイト株式会社
代表取締役   
橋本 英雄氏
販売促進用POPの製造・加工を柱に事業を展開。売上UPや店内装飾、店員オペレーションの簡易化など、POPの本質的な価値を高めるためのコンサルティング業への転換を模索。フィリピンでの印刷店舗ビジネス進出を皮切りに海外展開も本格稼働させる。
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